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奪う
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しおりを挟む「ネコヤン君にどこまで聞いておる?…………そうか。なら、その事故の続きからじゃ。先に言っておくが、ネコヤン君とソラン君との間に何があったのか、話し終わるまで止めぬからのぅ」
「覚悟の上です。お願いします。もう、守られるだけじゃだめなんだ」
嫌な予感しかしねぇ。緋桜さんの助言もあって話してくれるって決断した香さんが、妖孤の眼で俺を見る。
もう逃げねぇから。明るい緑色の、怪しい光を放つ目を見つめ返し身を乗り出す。俺が本当は怖がっていないか、口だけではないかと探っている。
頭がグラッとするけど、耐える。やがて香さんは目を閉じ、再び開くといつもの目に戻っていて。真剣な顔で話し始めた。
それは俺が研究所で検診を受けたあの日聞いた、悠一が研究所で過ごしていた時に起こった事故の話。
悠一の“魅了”の力を抑える薬を開発中に、逆に増幅させる薬ができてしまい悠一の力が爆発した。強すぎる“魅了”の力により周りにいた研究員達は心を奪われ、その中にソランさんがいた。
その時はすぐに駆け付けたドクトルと香さんによって被害者全員の記憶を消して治まった。悠一の力も、悠一を何日も強制的に眠らせることで封じた。
でも、それで終わりじゃなかった。ソランさんは元から悠一のことが好きだったから。事故の時の記憶を消されても、ソランさんの中にある悠一を好きな想いまでは消えなかったんだ。
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