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黒いライオン
9P
しおりを挟むあとはソランさんのことだ。じっくり、時間をかけてでも俺の手を握ってもらえるようになる。こうなりゃ意地だぜ。
それから、俺達はいつもの暮らしに戻る。
俺は大学に通いながらバイトをして。悠一は大学の保健室の先生をしながら、たまに力をもっと上手く使いこなせるように香さんのもとで特訓をする。
たまに笑也の様子を見に行ったりして、もちろん悠一も一緒に。それから……
あぁそうだ、笑也で思い出した。ゴロゴロ喉を鳴らして甘え始めた悠一の顎を押しのけて、俺は病室のドアに向かって口を開いた。
「待たせたな。今から着替えるから、それまで絶対にドアを開けるんじゃねぇぞ?聞こえたか、笑也とドクトル!」
一体いつからいたのか。ドアの向こうに2人の気配がある。ガタンッ!って音がして、慌ててんのがバレバレだって。
なんだ、悠一も気が付いてたのかよ。ちょっと不機嫌そうになった悠一は自分と、俺の体を丁寧に拭いて。それから、いそいそと着替え始めた。
ちゃんと待ってろよ、2人とも。ゆっくりゆっくーり、着替えてやるからな?
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