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黒いライオン
8P
しおりを挟むけどさ、実は結構本気だったりするんだぜ?いんげんやグリーンピースが彩だけじゃない、栄養も考えてるんだってことを教えてやる。あと、好き嫌いはダメだ!
3人の笑い声が病室内によく響く。明るく、楽しい雰囲気が病室内に満ちた。
笑って笑って、最後に「ありがとう。擬人化種達、皆の幸せを心から願っている」って声を残して。
そうして、黒の王は完全に消失した。もう、この世界のどこにもいない。
生まれてから今の今までずっと一緒にいたのに。つい最近まで一緒にいることすら知らなかったけどさ、それでも。寂しいな。
「――終わったな」
気づいたら声に出ていた。ボーっとしていたんだ。黒の王はもういないのに、まだすぐ目の前にいる感じがしてさ。
自分に言い聞かせるみたいだな。目を伏せると「そうだな」って悠一が優しく抱き寄せてくれて、目元にキス。
「やっといつものシオンの色に戻った。やっぱり、こっちがいい。白い肌に水色の大きな瞳、透き通りそうなほど真っ白な髪も……」
「ん。正直、俺も焦ったぜ。バイト、綺麗な純白な毛並みが売りなのにってさ。けど、悠一が黒くならなくてよかった」
何度も「よかった」と囁いて抱きしめる悠一。まずさ、店長が絶叫するよな。白猫のユキが黒猫から戻れなくなったら、最悪バイトクビかもって。
でも元に戻って、悠一もいつものままで。ハッピーエンド。
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