ユキ・シオン

那月

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 直也は悠一の本気のライガーの姿に触れ、魅了の力をぶつけられた。本人の意思に関係なくても、直也が悠一に惚れるのは……困る。嫌だ!


「シオン。信号、青になってるぞ」


「えっ?あ、ごめん。あっ、さっきのを右に曲がるんだった。まぁいっか。……直也、ガリガリに痩せてねぇかな」


 やばい。直也が悠一に惚れて擦り寄ってんのを想像したら、悠一のことを言えねぇくらいに怒りが湧いてきた。


 あの直也が。お高くて人を見下しまくっていた、しかも裏表が極端だった直也が悠一にデレるとか甘えるとか誘うとか想像するのも難しかったけどな。


 悠一の声で慌てて発進したら道を間違えて、すぐさまナビが次の道を教えてくれる。大変優秀で助かる。悠一にも持たせたいくらいだ。


「相変わらず優しすぎるというか甘いというか。直也は憎いが、そういうのはやっぱり……シオンらしいな」


 何度もナビをチラ見しながらハンドルを操作。そしたら、悠一が笑った。ビックリ。振り向きたいんだけどさ、曲がり道ばっかだから向けねぇ。


 直也に対しての憎しみで悠一の体から漏れ出る殺気というかオーラが痛かったのに、急にフワッと軽くなって。


「直也ってさ。出所したら完全に自由じゃなくて香さんの監視つきになるんだろ?それって、香さんの家に住むってことなのか?」


 信号に捕まって顔を向ければ、ホッとした。穏やかな表情。俺の視線に気づいて目が合えば、軽く頭を撫でて「そうらしい」と苦笑。



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