ユキ・シオン

那月

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譲渡会

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「先生の、魅了の力だっけ?僕の意思に関係なく先生に惹かれちゃうってやつでしょ?エグイよね。諦めてるけどシオン君を好きなのは変わらない。何が言いたいかって?要は、先生の力の影響もシオン君への恋慕も、僕が2人から遠く離れていれば何の問題もない。なのにわざわざこんなことをするなんてさ………………傲慢だよね」


「それは、直也は擬人化種に関わったうえに犯罪を――」


「擬人化種も人間も僕には関係ない。たまたま、相手が本物の猫だっただけ。犯罪者として保護観察するなら普通の、人間の監察官のところでもいいはずだよ?違う?僕、間違ったことを言ってるかな?」


「間違って……ない、けど……」


「悪趣味な首輪をつけて絶対服従させるバケモノの市長。呪いのような力を消すにはどうすればいいか、保護観察と言う名の実験をする先生。それから、自分の人の好さを過信して相手のためだとか言いながら相手の意思や気持ちを全く無視して親友だのとほざくビッチなネコヒメ。皆、自分のためばっかりだよねぇ」


「…………」


 もう緊張してない。冷静に、落ち着いて述べた言葉。きっと、直也の青い瞳に映る世界と、俺達が見ている世界は全然違う。


 否定できねぇ、な。間違ってねぇよ。


 直也は頭が良くて、高い机に脚を組んで座って俺らを見下してせせら笑うような。プライドが高くて誰かの上に立つ者。それが、一気に形勢逆転。


 自分が香さんや悠一、俺のための道具か何かだと思っているのかもしれない。それくらい、絶望している。


 直也はちゃんと罰を受けて反省をしている。しっかりけじめをつけて、出所後はやりたいこととか考えていたのかもしれない。俺はそれを聞かなかった。


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