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轟木直也
7P
しおりを挟む「擬人化種って、ただの都市伝説みたいなものだと思っていたのに。自分の、すぐそばにいる人がそうだったとか、いまさらながら驚いちゃってるよ」
「あぁ、本当に今さらだな。俺の体で商売を考えていたくせにな?」
「商売?あぁ、あれは冗談だよ。本当は、僕以外の誰にも見せない、触れさせない。閉じ込めて僕だけのものにしたかった。まぁ、できなかったけど」
「……直也、気持ち悪いくらい素直だな」
「はぁ?それこそ今さらでしょ。表の、ニセモノの僕は死んじゃったからねぇ。もうどうにでもなれって、ヤケクソで素のままでいようと決めたんだよ。彼女もオトモダチもいなくなった。けどいいんだ。僕には僕の更生を諦めない、信じ続けてくれる………………バカな友達、お人好しな親友がいるからねぇ」
ごめん。全然、手の血が止まらねぇな。備え付けの洗面台に行って腕まで垂れる血を洗い始めた直也。
水の流れる音で聞こえていないと思ったか?バッチリ聞こえたよ。口元に柔らかい笑みを浮かべながら、すっごく嬉しいことを言ってくれた。
嬉しくて俺、抱きついた。直也の背中に抱き着いて「ありがとう」を言う。
今さっきされたこと、されそうになったこと。直也が我慢し続けていること。全部わかっているけどさ、感動を抑えられなかった。
もしかして前がヤバくなった?俺は治まったけどさ、直也のはまだちょっと腫れてたし。ま、謝らねぇけど。
「認めざるを得ないよ、ね。どんなに否定してもシオン君は僕にとっていつも大好きな、親友だった。ねぇ、下心なんかないから…………振り向いてもいいかな?」
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