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主人マクベス
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しおりを挟むあたし達の間でそういう感情が芽生えることは有り得ないし、あたしもマクベスも他の人に恋心を抱くことはない。そういう風に定められているの。そのはず、なんだけどなぁ。
最近発生している鬼についての謎を解決し、鬼の発生源を見つけ殲滅する。それだけのためにあたし達は生きている、生かされている。
あたしとマクベスをそんな呪で縛っているのは、晴明様。この世から悪しき鬼を断つ。それが彼の、叶えられなかった望み。
あたしの本当の主人は彼なんだし、あたしは彼の道具なんだから彼の意志を引き継ぐ義務がある。でも、マクベスは?
マクベスは晴明様とどんなつながりがあるのかわからないけど、永久の鬼追いになることを自ら志願した。
いつか聞いてみたいな。マクベスと晴明様のつながりを、マクベスにとって晴明様は何なのかを。知りたい。
こんなにも長い長い、長すぎる付き合いなのに。あたしはマクベスのことをほとんど何も知らない。食べ物の好き嫌い暗いよ、知っているのは。
聞いても隠される。隠されると悲しいけど、寂しいけど。それよりももっと、知りたくなるわよね。
あたし?内緒よ。元々がすでに人間じゃないってことだけは明かしておくわ。転生後の体は人間のものを元に作られているけど、鬼追いとして覚醒すれば本来の体に変わる。
不思議よね。いくら天才陰陽師の晴明様でも、そんな神様レベルの御業が使えるとか。もしかして晴明様のお力じゃなかったりして。
「ん……あたしも、ちょっとだけ休もうかな……」
誰かさんがあたしを乱暴に扱うから疲れちゃった。嘘だけど。マクベスの腕の中が温かくて居心地がよくて、安心したあたしは彼の寝息を子守唄に目を閉じた。
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