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主人マクベス
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しおりを挟む――30分後。パチッと目を覚ましたあたしは、まだ気持ちよさそう……じゃない?悪夢を見ているのかしら?充電中なのに珍しく苦しそうな彼の寝顔を見つめる。
あたしの体内時計は性能が良いのよ。いつもほぼピッタリの時間を感知できるわ。じゃなくて。
どんな夢を見ているのかしら。あたしの体をガッチリ離さない腕に力が加わり、腰が痛い。お腹が潰れちゃう。
普通の人間なら痛みに悲鳴を上げるほどの。息もできない苦しさに、あたしは耐える。耐えられるわ。人間じゃないもの。でも、当たり前に痛いし苦しいわ。口から内臓が出そう。
ジッと見つめ続けていると表情が変わった。うめき声が薄い唇から漏れ出て、眉間に深いシワが刻まれ綺麗な顔が台無し。
あたしの背中はミシミシ悲鳴を上げ、彼の体も熱を帯びて額に汗がにじみ始める。
「マクベス、起きなさいよ。延長したらコンビニ弁当だって言ったでしょ?」
痛みに耐え、見つめる。ほんと、マクベスをここまで苦しめる悪夢ってどんな悪夢よ?昔戦った災鬼とまた戦ってるの?それとも、あたし達を殺した戦鬼?
右手を伸ばし、苦しそうに歯を食いしばる彼の頬に触れる。熱い。
「ねぇ、そこにあたしはいないの?あたしがいないとロクに戦えないでしょ。いつも一緒だったものね。これからもマクベスの隣にはあたしがいる。マクベスの中に、あたしはいるのよ」
「うっあぁぁ……っ……はっ!…………な……ナツメ!?あ、あぁ……あぁ、良かった、生きている……」
「生きてるわよ、当たり前じゃない。って、ちょっと、何よもうっ」
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