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主人マクベス
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しおりを挟む「限界を超えて頑張りなさいよ。あたしはマクベスの武器、刀よ?1人じゃ、そこらの人間と変わらないくらい……ううん、何にもできないあたしに、強大なドラゴンなんて倒せるわけないじゃない……」
ドラゴン化したマクベスを殺すなんてできない。それはただ逃げているだけじゃないわ。逃げは認める。でもね、無理なものは無理なのよ。
考えてみてよ。あたしは鬼追いでも、武器の刀に変身して力を与えることしかできないのよ?
他の誰か――アキラさんとか?――に手伝ってもらうにしろ、人間の姿で最強と言われるマクベスがさらにドラゴン化したのと戦うなんて。
最強に最凶がプラスされて手に負えないわよ。あたしと鬼死団全員と他に戦える人達を全部集めてかかっても、きっとドラゴンの方がずっと強い。それほどまでに成長している。
抱きしめられるたびに、感じるの。転生しても、マクベスの中にいるドラゴンが、どんどん大きく強くなって内側から食い破ろうとしてるって。
やがてマクベスは大きく息を吸って、ゆっくり息を吐いた。
「…………わかった、言い方を変えるよ。俺は次に発作が起こったら抑えられない。だからドラゴン化する前、俺がこの姿のうちに殺せ」
考えないようにしてた。その方法だけは絶対に選ばないように避けていたのに、彼はあっさり口に出してしまうのね。
あたしの肩を抱き寄せて。そんな真剣な、決意の瞳であたしを見つめないでよ。
倒せないのなら、倒せなくなる前に倒せばいい。でもそれは“ドラゴン”ではなく“マクベス”を殺すことになる。
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