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主人マクベス
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しおりを挟むしばらくしてマクベスの発作は治まって黒い負のオーラも消えたわ。彼は高熱を出して数日間寝込んじゃったけど。
今思えばあの発作がドラゴン化の予兆だったのね。いくら晴明様が天才陰陽師でもドラゴン化を完全に治すことなんてできないのよ。一時的に封じているに過ぎない。
それから今までに数回、マクベスはドラゴン化しかけたわ。晴明様に教えてもらったように対応してなんとかドラゴン化を阻止しているけど、発作が強くなれば――
「鬼を殲滅するのが先か、俺がドラゴンになってしまうのが先か。もしも俺が完全にドラゴンになって暴走したら、その時はナツメが俺を殺して。主人命令だよ」
「っ!何を馬鹿な事言ってんの!そんなの、できるわけないじゃないっ!!」
ポンッとあたしの頭の上にマクベスの大きな手の平が乗せられた。なだめるように、優しく撫でてくれる。
何度もドラゴンになりかけた本人がよくわかってる。晴明様にもらったお守りがもうほとんど効かないくらいにドラゴンの力が強くなってきている、次に発作が起こったら耐えられないかもしれないって。
そんなこと、あたしにだってわかるわよ。前回がギリギリだったもの。晴明様亡き今、あたしだけじゃ力が足りない。でも、だからこそ耐えてもらわなきゃ。
「できるさ、ナツメなら。俺の命令も、さりげなく言った頼みも必ずこなしてくれたナツメならできる。その力がある」
「あたしは強くなんかない。今までどんなに辛く苦しいことがあっても決して折れることのなかった強い人間の心をマクベスは持ってるんだからもっと頑張ってよ、もっと抗ってよ!」
「もちろん、このドラゴンとは全力で戦うさ。俺の中でどんどん大きく強く育っても、俺の体を渡さないよう戦う。でも、わかるよね?俺にだって限界はあるんだ」
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