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迫りくる氷山
5P
しおりを挟む見世物小屋に売り飛ばされる前の奴隷のような感じだったって、うつむいたラファルガ君は右肩を軽く引っかいた。
檻の中で他の子供達とは離れて睨み付けるラファルガ君を指さし、笑いながら女と鬼達はいくつか言葉を交わす。
生かすか殺すか。数分話し合った結果、少年小童子を先頭に小童子が檻の中へ飛び込んだ。全員一斉に、ラファルガ君に襲いかかる。
小童子に食い殺させ、それを目の前で見た他の子供達に脱走なんて考えさせないようにする。それが答え。
声高らかに笑う女と男、笑いはしないが「フンッ」と鼻を鳴らした美青年は姿を消し檻の中は恐怖に飲まれる。
子供達は言葉にならない悲鳴を上げ、ラファルガ君は鉤爪を装着し子供達を庇いながら懸命に戦った。
けれど多勢に無勢。それはあまりにも一方的で、広いとはいえ逃げ場もないし守りながらでは5分ももたない。死を覚悟する他なかった。
「3体くらいは倒したかな。でも、パニックで飛び出してしまう皆を全員守るのは難しくて……」
「お前が脱出できたのは友達の助けのおかげか?確かそう言っていただろう?」
「はい。おいらの友達は魔法が使えたんです。初めて知ったけど、少しの間だけ体が入れ替わる魔法でした」
子供達の中では年長の12歳の少年が小童子の攻撃を上手く利用して床に穴を開けた。そこから檻の外へ出られる。1番体の小さな友達と年長少年以外。
年長少年は次々と子供達を穴に押し込み、ラファルガ君は小童子達と戦いながら「おいらが穴を広げるから、一緒に逃げる!」と叫んだ。
けれど友達は「時間がない。先に逃げた子達ですぐにバレるから、僕達は置いていけ」と首を横に振る。
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