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潜入は慎重に
11P
しおりを挟む「死ぬわよ」
ティンさんが近距離用の銃でとどめを刺した。呆然と振り向けば、全ての小童子は息絶えて散らばっている。
ティンさんが冷たく吐き捨てた言葉は、あたしの心に深く突き刺さって抜けない。ティンさんよりももっと、長い長い間、膨大な時間鬼と戦ってきたのに。
相手が人間の子供みたいだからとどめを刺せないなんて、愚か。甘いにもほどがあるわ。
だからあたし、自分で自分をブン殴ったの。パァンッ!って良い音がする平手打ちじゃなくて、きつく握りしめた硬いゲンコツでドゴォンッ!
あ、そこまで壁が砕けるような音じゃなかったわ。歯を食いしばって思いっきり殴ったから、ちょっと目の前がチカチカしたけど。
「ナ、ナツメ……?」
「ん、大丈夫!行きましょ。きっと子供達が待ってるわ」
バッチリ目が覚めた。驚きを隠せないマクベスとティンさんにニコッと笑いかけ、もう1度「大丈夫だから」と声に出して足を踏み出す。
明らかに中に何かを隠している部屋が奥に見えた。ドアの取っ手には頑丈そうな鎖が幾重にも巻き付けられていて、大きな錠前で留められている。
誘拐された子供、確実にここにいるわよね?というか、ここに居なかったら逆にここに何を隠しているんだって話なんだけど。
RPGじゃあるまいし、ドアに触れたらどこからともなく鬼が出現したりなんかしないでしょうね。うーん、ゲームのやりすぎみたい。
錠前を開ける鍵は持っていないし、やっぱりというか寸の間をおいてマクベスがエクスカリバーで叩き斬ったわ。
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