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潜入は慎重に
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しおりを挟む中に複数の気配を感じる。ゆっくりゆっくりドアを開けてみると、この部屋は小さい会議室のようで長机とパイプ椅子がいくつか並べられているのが見えた。
その奥、隅っこで何かがうごめいたかと思えば、肩を寄せ合っている子供達。
口々に「だれ?」「わかんない」「怖い」と呟く声が震えているわ。正面の男の子、誰かにぶたれたのかしら?頬が真っ赤に腫れてる。
まず足を踏み入れたのはあたし。右手に大豆を握り締めて、奥でジッとこちらの様子をうかがっている子供達の前にしゃがんで、微笑みながら右手を開く。
大豆が床に落ちて乾いた音が跳ねた。けれど耳障りな絶叫は聞こえず、子供達は不思議そうに転がっていく大豆を凝視。
あぁ、やっと見つけたわ。今度こそ誘拐された人間の子供達ね。10人前後かしら?皆、小学校の低学年くらい。よく見ると後ろの子達もけがをしていたりあざがあったり。よく頑張ったわね。
「あたし達は鬼死団、君達を助けに来たの。遅くなって、怖い思いをさせてごめんね。もう少ししたら安全な場所まで連れて行ってくれるあたし達の仲間が来てくれるから、もう少しだけここにいてくれる?」
本部にいるアキラさんに子供達を発見したという報告、そして自分達は先に進むから本部から保護部隊を連れてくるよう頼んだティンさん。
あたしの隣にしゃがんで、それはそれは優しいお姉さんの顔で微笑んでいる。
「ラファルガさんは一緒じゃない?仲間でしょ?ラファルガさんはあとで必ず助けが来るからって言った。あなた達は、一緒に逃げてくれない?」
「ごめんね。あたし達は悪い鬼達をやっつけに上に行かなきゃいけないの。あれ?君……もしかしてアキラ君?」
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