154 / 268
ハーメルンのホラ吹き
5P
しおりを挟む一応は血のつながった兄妹とはいっても、お兄ちゃんはただの人間。社長室を探して見つけた派手なスカーフやハンカチを傷口に詰めて手で押さえてもあっという間に真っ赤に染まる。
血が止まらない。誰か、早く助けて!なんかもう、色んな意味でカワイソウなお兄ちゃんを助けてよ。
いつものようにナンパしたら13歳もサバ読んだ色魔だし、実は鬼の仲間だし。真実を知ってみれば刺されちゃうし。
日頃の行いが悪すぎるのよ。これに懲りてナンパもサボリもやめなさい。お願いだから。
「まーいどー。いつもご利用、以下略。うっわ、グッサリやられてるやないっすか。出血多すぎてわいの服が汚れてまう。じゃ、速急で送りますんで。まーたどーぞー」
シュンッとどこからともなく姿を現し、お兄ちゃんを連れ去って行ったのは特別な配達員。
セツナさん19歳。鬼死団じゃないけど“超急便”っていう、瞬間移動で物や人を運ぶ仕事をしている人よ。1人だけしかいないからほぼ毎日ほぼ24時間働いているわ。
見合ったお金を払えばいつでもどこでも何でも運ぶ、をモットーにしてる。鬼死団御用達の彼、性格に問題大アリ。
変な喋り方だしダラダラしててやる気ない、でも仕事はしっかりやるんだけど。愛想と気配りは一切ないわ。
持てないものでも触れていれば何でも運べる。ただ、いつどこにいるのかがわからない。しかもお金は前払いだから事前に契約をしていないと頼めないの。
鬼死団はあらかじめ大金を年に1回支払っているから、代金は心配しなくていいのよね。ま、セツナさんにとってお得意様ってこと。
今頃、カレスの元にお兄ちゃんを運んで次の場所に移動してるんでしょうね。大丈夫よ、じいじなら綺麗に治してくれるわ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる