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ハーメルンのホラ吹き
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しおりを挟む「全て終わったその後に続きがあった、というようなものだな。僕達は、っ……チッ……わけあって自由ではない。逃げるなら今のうちだ、早く行け」
「お2人共、悔しいでしょうが今回は引きましょう。無礼ながら、今の状況ではこの鬼達を倒せる可能性は確実にゼロ。帰って団長に報告」
銃を持ったままあたし達を振り返り、床に座り込んでいるミチカさんに目を向けるティンさん。
可哀想に彼女、酒吞童子に「どうでもいい」とか「邪魔で鬱陶しい」って言われたのが相当ショックだったのか、ずっと放心状態なのよ。
実は彼女の体には爆弾的なものが仕込まれていて、本部に連れ帰ったところでドカン!とか、有り得なくはない。
そういう惨いことができるような鬼じゃないんだけどね、酒呑童子は。茨木童子でも、すすんでやる鬼じゃない。
茨木童子は「わけあって自由ではない」って言っていたわね。それに酒吞童子は「叩き起こされた」と言っていた。
ソワソワと妙に周りを警戒しているし、彼らもまた何か焦っている。変よ、変、変すぎる。
「俺様達に言いたいことは山ほどあるだろうけどな、お前らのためを思って言ってやってるんだ。さっさと、アイツが来る前に逃げろ。あーもう、早く行かねぇとその窓から突き落とすぜ!?」
イライラが頂点に達しかけているのかしら。本当にあたし達を窓から放り出そうと、1歩また1歩と手を伸ばして窓際へと追いやる。
なんとなくだけどわかった気がする。酒呑童子の本気で焦っている目を見ればわかるわ。
だからあたしは、いまだに感情に支配されて酒吞童子を睨み付けているマクベスの手を引いたの。でも遅かったわ。
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