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開戦再び
7P
しおりを挟む一陣の風が吹いた。人間のものとは思えない「ウオォォォオオオォオォォォッ!!」という雄叫びを上げるアキラさんが金砕棒を手に飛び出したの。
屋上から屋上へと跳び、戦鬼に向かって大ジャンプ。あらゆる思いを詰め込み詰まったアキラさんの渾身の一撃は背を向けている戦鬼の左肩に命中。
でも、骨が折れる嫌な音が響いて体が傾いただけで倒れない。代わりに伸ばされた戦鬼の右手がアキラさんの足をつかみ、ブン投げた。
空中ではなすすべもない。反射的に、感情的に1人で突っ込んでしまったアキラさんの体は傾いている大きなビルの外壁に激突。
する寸前、ギリッギリで空中停止。アパートの屋根の上にゆっくり降りてガクッと膝を突いた。
「あっぶない危ないのう。永久の鬼追いのお2人、それから鬼死団よ、心してかかれ。羅刹は本気でこの世界を壊しにかかり始めた。手始めにまず、おぬしらを葬るつもりじゃ」
幻聴が聞こえる。嫌な声、羅刹が高らかに笑っている声が聞こえるの。
ミケさんがまた飛び出そうとしたアキラさんの方へ手を向け、ギュッとこぶしを握ると彼の動きがピタッと止まった。
「死ぬぞ」
「くっ、うぅ……こいつは……7年前、団長を……あいつらを、皆をっ!!感情に流されてはいけないことはわかっている。だが、こいつだけはっ…………体が疼くんだ。殺してやる、バラバラに粉砕して、喰らってやりたいほどに……っ!」
初めて見た、アキラさんの涙。必死で耐えようとしているのがわかる。力み過ぎて握り締めている拳から、怒りと恨みに燃える黒い瞳から赤い血がしたたり落ちているもの。
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