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開戦再び
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しおりを挟むあたしはなかなか止まってくれない涙を何度も拭い、なぜかもらい泣きしちゃってるマクベスの涙も拭いてあげて深呼吸を数回。
大丈夫。ちゃんと終わらせるよ。でも、これで終わりじゃないから。
耳を塞ぎたくなるような皆の絶叫、爆音が轟く。血の匂いが濃くなっていく。歯を食いしばり背を向けると、罪悪感に体が震え始めた。
「大丈夫だよナツメ、俺が隣にいるから。って言っても俺、ナツメがいないと全く戦えないんだけどね。あははっ…………だから、最期まで一緒に……」
そっとあたしの手を握ってくれる大きなマクベスの手に心から安堵する。お兄ちゃんとはまた違った感じで温かくて優しくて、この手を離さないって誓える。
お兄ちゃんが乱したあたしの髪を撫でて直してくれた。なんだかくすぐったくて、体の震えも治まってきたわ。
残ったのはあたしとマクベスと、それからミケさん。ミケさんは1歩踏み出し、あたし達の横を通り過ぎて戦鬼と災鬼を見上げる。
「わしがおぬしらに力を貸してやれるのはここまでじゃ。わしは鬼死団と共に戦う。ゆえにおぬしら、2人だけで羅刹の元へ行くのじゃ」
「俺達だけでも勝算がある、ということですか?」
「それはわしにもわからぬよ。心の思うがままにやってみるがよい。わしも、おぬしらに賭けてみたい。じゃからこれが最後の情報じゃ」
「羅刹の、失われた一部の在処がわかったのね?」
ミケさんはあたし達に背を向けたまま深くうなずき、ある方角を指さした。
「行け。羅刹はもう気づいておる。ゆえにその一部が戻らぬようこの世から消そうとしておる。その、羅刹の欠けた一部は――」
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