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兄妹
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しおりを挟む時はさかのぼって。アキラさんの突然の思いつきと優しさで開かれたお鍋パーティーの日。
日付が変わる少し前。アキラさんは、ユエさんに協力してもらって欠席していた副団長を捕まえた。鬼死団本部にある、アキラさんが寝泊まりしている部屋に拉致。
副団長なんだから同じく自分の部屋があるくせに、いつも外で寝泊まりしているんだから。でも、どこに隠れていたってユエさんにはお見通し。
最後まで欠席を貫き通した、街で若い女の子をナンパして遊びまくっていた不健全な副団長――お兄ちゃんに怒りを隠すこともなく。両腕をひねり上げて部屋に着くと突き飛ばしたアキラさん。
そんなに広くない部屋にはちゃぶ台があって、その上にカセットコンロ。そして、その上に1人用の土鍋。
アキラさんがお兄ちゃんのために取っておいた、あたし達が大絶賛したお鍋を味わってほしくて。共有してほしくて。お兄ちゃんにも、家族を感じてほしくて。
乱暴だけど、ただただ無言で土鍋を指さすアキラさんに、お兄ちゃんはついに観念した。
アキラさんはお兄ちゃんにももちろん声をかけていたの。でも逃げた。どうせ「可愛い女の子が待ってるから!」とか、くっっっっだらないことを言ったんでしょうね。
で、気に入った女の子を引っかけてホテルに連れ込んで。こんな時間まで、遊んだ。
いつもそう。鬼死団の大事な会議の時だって、遊びに逃げてばっかりで。あたしは、そんなお兄ちゃんが大嫌いだった。
兄妹だっていっても、一緒に過ごしたのはほんの数年だけだった。マクベスと再会したらすぐ、一緒に住むようになったんだし。
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