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酒吞童子と茨木童子
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しおりを挟む「せ……せいめ、い、さま……晴明様、なの?っ、うあっ」
「他に誰に見えると言う?そちらの分も回収するぞ。お前達が強くなったおかげで私も力をつけることができた。やっと、契約者も見つけたしな」
「あー、感動の再会ってやつ?時間がないんだろ?悪いけどさっさとやってくれよ。俺がこのヘタレ2人を相手するには力が足りないんだからな」
「そう急くな。お前は生まれて間もない、その体が馴染むにもまだ時間がかかるだろう?とは言ってみても、時間がないのは事実、か」
そこにいるのはやや背景が透けて見えるけれど、たしかに安倍晴明様。あたしに向けた手を振ると、あたしの中から青白い塊が飛び出して晴明様の中に吸収されたわ。
間違いない。あたしとマクベスの中にあった晴明様の魂の欠片、それが実体化してるんだわ。
あたしもマクベスも、晴明様の魂の欠片があったから夢で逢うことができた。晴明様の力を使うことができた。でもそれと同時に、晴明様もあたし達の中で力を蓄えていた。
酒吞童子と茨木童子が羅刹によって奪われたから、こうなることを予測して準備をしていた?
わからない。わかんないけど晴明様、酒吞童子と茨木童子をそう簡単に奪われないでよ。相手が神様だからって、天才陰陽師の晴明様なら守れるでしょ。え、無理?
晴明様の気配が、力がグングン上がっていくのを感じる。って言っても晴明様は体のない死者よ?どうして実体化なんて……
はぁっ、考えている間に晴明様が消えた!?いいえ違うわ。青白い光の塊になった晴明様は男の子の左手に集まって凝縮して、細長くなって一振りの刀に姿を変えた。
せ、せ、せ、晴明様が刀にっ!!?男の子は刀をブンッ!と一振りして感覚を確かめ、酒呑童子に向き直る。
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