217 / 268
酒吞童子と茨木童子
11P
しおりを挟む晴明様は「契約者」を見つけたって言ってたわよね。もしも晴明様とナナシ君の関係が、あたしとマクベスの関係と同じようなものなら。ナナシ君が晴明様の主人。
なんだか変な感じ。でもなんか、酒呑童子の動きが鈍くなった?
「やぁクソ親父。息子の急成長に驚いて声も出ないのかよ?それもそうか。そもそも俺が生まれるとは思ってなかったんだもんな?」
「たった1度の交わりで子を成すとは、な。お前のことだ、心底惚れ込んでいたんだろう?」
「それさえもあの羅刹の計画の一部だとしたら、どうする?あんたはただ、惚れた女も守れねぇちっぽけな男になっちまうぜ。それでいいのかよッ!!」
ナナシ君の怒りが爆発し、シュンッと姿が消えたかと思いきや酒呑童子の背後に現れ刀を突き出した。
おしい。とっさに身をすくめられて刀は心臓ではなく酒吞童子の左肩を貫いた。振り向きながら繰り出してきた酒吞童子の回し蹴りは上体を反らせてかわす。
だがその隙に迫ってきていた茨木童子に背中を斬りつけられ、酒吞童子の肩から刀を抜き倒れ込む。
その手をマクベスがつかみ後退。手を離すと同時に一気に踏み込み、鬼斬り丸を素早く振り上げ茨木童子の右腕を肩から斬り落とした。
「君もそうだよ茨木童子。君はずっと酒呑童子のために生きてきた、隣にいた。君がそれを強く望んだから。これからもずっとそうだと言っていたね?確かに今の君は酒吞童子の隣にいる、でも!それは羅刹の策略。自分の意思で隣にいる、誰にも譲らないのが君の彼への絆の証。忘れてしまったのかい?」
茨木童子の体がビクンッ!と震え、右肩を押さえながら跳び下がる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる