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悪鬼羅刹
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しおりを挟むもう1度斬り裂いてやろうと振りかぶった羅刹の腕を、ナナシ君の首に触れる寸前に蹴り上げたのは、ナナシ君の中から飛び出した2匹のキツネ。
言わずもがな。晴明様の術。2匹のキツネによって跳ね上げられた羅刹の腕を、今度はマクベスが断ち斬った。
いびつで、太くゴツい腕は別れを惜しむことなく床に落ちる、寸前に羅刹のもう片方の手が拾って飛び下がる。
「させるかッ!」
距離をとって斬られた左腕を肩にくっつけようとした羅刹に、マクベスが襲いかかる。
ザンッ!と振り下ろされた鬼斬り丸は素早く、羅刹が避ける間もなくもう片方の腕をも断ち斬った。
両肩から滝のように血を流す羅刹はガクンッと崩れ、たまらず床に膝を突く。しかし銀色の目だけはマクベスをとらえて離さないでいる。
このまま一気にトドメを刺してカレスを元に戻してやれば、羅刹は良心を取り戻し世界を滅ぼすことをやめて全てが終わる。
そう思ったのに。羅刹はまだ本気を出していなかった。本来の力を隠したままあたし達と、遊んでいたのよ。
「ぐ、うぅっ……痛いなァもォ。君達しつこすぎ、飽きちゃったよ。だから…………そろそろ終わりにしようかァ」
追い込まれたフリをしていた羅刹は「クックックッ」と笑う。
ユラリと立ち上がった羅刹の全身がカッ!と爆発のごとく光を放った。同時に、爆発のごとく衝撃波があたし達を襲い屋上の端まで吹き飛ばされてしまった。
マクベスがナナシ君を、そして意外にもじいじがラファルガ君とカレスを支えてくれたから屋上から落ちないで済んだけど。
「何よ、これ……」
神々しい光の中から現れた羅刹は変身、いえ、本性を現した。
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