恋人以上、永遠の主人

那月

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 体中の傷があっという間に癒えて、振り向いた彼はニコッと笑った。その顔を白い鱗が覆い隠していく。


 大きな鱗。魚の鱗ではない、何が近いかといえば蛇の鱗が近い。顔だけじゃなく腕も、きっと全身にまで。瞳孔がキュッと縦に細長く、人間のものではない。


 マクベスの中で怖くおぞましい気配が膨らむのがわかる。何が起こっているのかわからない羅刹は手を振り、とりあえずと衝撃波をぶつけるけれどマクベスもブンッと手を振って掻き消した。


 その腕が、人間のものじゃない。白い鱗に覆われ、指先には鉤爪のような少し曲がった銀色の長く鋭い爪が生えている。


 左手で胸を押さえ苦しそうに唸る、けれど眼光鋭い矛先は羅刹に向けたままの彼に、あたしは近づけない。どうして動かないのよあたしの体!


 あたしはマクベスのパートナーでしょ。あたしが苦しい、辛い時は彼が寄り添って背中をさすってくれた。落ち着くまで優しく「大丈夫だよ」って囁いてくれた。


 だから今度はあたしの番なのに!彼の隣で手を握って、抱きしめてあげてもいいわ、優しく「大丈夫だから頑張りなさい」って言ってやらなきゃいけないのに!


 背中を曲げて、禍々しいオーラをまとって苦しんでいるのに。内に封印していたヤツが再び目覚めようとして苦しんでいるのに!


「はぁっはぁっはぁっう、ぐ、うぅぅぅ……ふ、うっ……ぐ、あぁぁぁあああぁああぁああぁぁぁあぁっ!!!!」


 絶叫しダンッ!と床を踏み鳴らしヒビを走らせたマクベスの体が、突然大量に発生した灰色の煙に巻かれて見えなくなった。


 怖い気配が一気に爆発し、マクベスを覆いつくしていく。煙がモクモクと、見上げるほどに膨らんでいく。


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