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変身
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しおりを挟む悔しい!握りしめた巾着袋を思いっきり投げ捨てて、あたしは立ち上がった。ドラゴンを見上げる。
「お前は私が初めて作った式神だ。劣化し何度か消滅しかけたが、そのたびに契約を結び直してきた。あぁ………………あぁ、そうか。そうだ。私の中では特別だ。私の想いが、お前に心を与えてしまったのかもな」
「あたし、晴明様の式神として生まれた時にはすでに他の式神がいたと思うんだけど」
「契約を結び直すたびに前の記憶は消えていた。そこまで修復できるほど、その頃の私は強くなかった」
「そう。酷い話ね。嘘つき」
本当に酷い話だわ。ポロッとすごい発言が聞こえちゃったんだけど、場違いに耳まですっごく熱くなって頭が混乱しそうなんだけど、耐えた。
次々と真実が明らかにされていくわね。あたしの心、あたしが作ったというか自然発生?
そうよね。いくら晴明様が天才陰陽師でも、神様級の御業が使えるはずがない。紙切れから作られた式神に心を与えるなんて、できるはずがなかったのよ。
あぁ、なんかスッキリしちゃった。目の前では悪い神対暴走ドラゴンの戦いが白熱しちゃって、街がどんどん壊されちゃってるんだけど。
地上で小型や中型鬼と懸命に戦っている鬼死団がいるっていうのに。羅刹の攻撃を受けて墜落したドラゴンの巨体が地上を潰し被害は拡大。
屋上のフェンスにしがみついて覗き込めば、地上で仰向けに倒れたドラゴンに羅刹が襲いかかっていた。
ドラゴンが起き上がる前に、4枚の羽根で作られた大きな刃で白銀の右翼を斬り落としさらに雷を落とそうと右手を振り上げる。
その右腕を含めた右半身を、大きく開かれたドラゴンの口から放たれた白い炎で焼かれた。雷の代わりに大量の水を滝のごとく降らし鎮火させる。
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