恋人以上、永遠の主人

那月

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変身

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 神様だからとんでもない速さで傷が癒えるとはいえ、羅刹はだいぶ押されている。


 モザイクをかけたくなるほど酷く焼き尽くされた右半身を庇いながら飛び、4枚の羽根で起こした巨大竜巻に雷を付与させて地上のドラゴンにぶつける。


 ようやく起き上がったドラゴンも左翼を羽ばたかせて竜巻を形成、ぶつけるけれど力の差が歴然。


 多少は弱まったものの竜巻を飲み込んだ雷入り巨大竜巻は、飛び上がろうとしたドラゴンの巨体を包み隠した。


 鎌鼬と化した暴風が、巻き上げられた瓦礫が、雷がドラゴンを容赦なく襲う。白銀の体が見る見るうちに赤く染まっていく。


「行くのか?今のお前に何ができる?そんな銃、あいつらにはオモチャも同然だぞ」


 フェンスから身を乗り出し飛び降りようとしたあたしの腕を、晴明様のキツネが噛んだ。可愛いけど痛い。


 今のあたしにはまともに戦える力なんてない。武器は護身用の銃が1丁だけだし、弾丸はマクベスの力を圧縮して使っていたから自分の力を使うしかない。


 これで参戦して戦えるとは思わないわ。巻き込まれてすぐに殺されてしまう。見え見えの未来。あたしの最期。


「それでも、行くしかないのよ。あたしはマクベスのパートナーだもの。大丈夫よ。あたしは恐れない」


 マクベスの気配は消えてしまった。でもあたしにはわかるのよ、マクベスが今もなお苦しみの闇の中にいるってね。苦しそうな声が聞こえるのよ。


 だからあたしは行くわ。フェンスの向こう側に立って手を離す。飛び降りればすぐ下にドラゴンが、マクベスがいる。


 マクベスの隣はあたし以外有り得ない。だから、あたし以外誰が行くっていうのよ?


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