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白銀の闇
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しおりを挟む「ほんっとーに弱いわね、マクベスは!このあたしを拒否したから吞まれたのよ。まったく、あたしがいないと何にもできないんだから」
事実でしょ。起き上がって床に座り立ち上がろうともしない彼の真ん前に立って見下ろす。
「ナツメを、この闇の中に閉じ込めたくなかったんだよ。ここからは絶対に出られない。なのに――」
「根性なし。あたしのことが好きなんでしょ、愛してくれているんでしょ!?だったら、どうせ出られないのなら愛する人と一緒にいたいくらい言ってみなさいよ!」
「っ…………できるわけないだろッ!!心から愛しているからこそ俺がそういうことができないって、ナツメならわかるだろッ!!」
「だからって、ここで膝を抱えて情けなく何もしないでいるつもり!?あたしが知ってるマクベスなら、この闇の中を走って走って走り回ってでも脱出する方法を探していたはずよ!違うッ!?ねぇッ!?」
「脱出は不可能だって言ってるだろッ!内側からも外側からも、どうすることもできない。自力で脱出することも、誰かに助けてもらうことも、できない……」
「どうして……どうしてそんな悲しいこと言うのよ。どうにもできないことなんてないわ。だってあたし達は永久の鬼追い、永遠のパートナーでしょ?」
「あぁ、そういえば契約者が変わって完全な主従になったんだったね。俺は無我夢中でよくわからないままだったけど」
「呼んでよ。あたし達には誰にも負けない、不可能を可能にできる……かもしれない……強固な絆で繋がってるじゃない。あたしの名前、呼べないなんて言わせないんだから」
叫んでいるうちにボロボロ涙がこぼれ落ちちゃって、止まらなくなって、あたしはマクベスを抱きしめた。
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