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終末の先の景色
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しおりを挟む泣き崩れているリリちゃんと、その肩を抱くティンさん。ピシッと敬礼しているアキラさんの黒い瞳は涙で潤んでいる。
その隣で必死に泣くのを堪えているお兄ちゃんと、その頭をポンポンしているミケさん。
えぇー、今やっと見つけたんだけど。1羽の黒いハトを肩に乗せたユエさんが、近くのアパートの屋上に座って手を振っているわ。
それから、そうね、彼も残るのね。生まれるはずのなかったナナシ君はミチカさんの血を引いているから消えないでいる。
この先、人間と鬼のハーフだということが最大のハンディになるでしょうけど、ナナシ君はしっかりした子だから大丈夫だと思う。
何かあったらマクベスとかアキラさんが面倒を見てくれるはず。放っておけないものね?
浮いているの?何だか体がフワフワ軽くなって、自由を手に入れた風船のように体が浮かび上がっていってる。皆があたし達を見上げている。
もう、本当にお別れ。足元でどんどん小さくなっていく景色。もう、戻ることは2度とない。
皆が見えなくなっていく。視界の外側から徐々に消えていって、最後に残った真ん中のマクベスが叫んだ。
「ナツメェェエェェエェェェッ!!!!」
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