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地獄巡り御一行様
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しおりを挟む完全にあたし達の体が消えた後、よくわからないんだけど真っ白な空間にあたし達4人は立っている。あたし、晴明様、酒吞童子、茨木童子。
天国?地獄?ここがどこかなんてどうでもいい。マクベスのあの悲痛な叫びが、彼の正直な想いとなってあたしの心に突き刺さって痛い、苦しい。
「ナツメ、本当は私じゃなくてマクベスのことが好きなんじゃない?」
辛くて言葉も出ないあたしの肩をそっと抱いて囁く晴明様は、優しく頭を撫でてくれる。
マクベスのことはパートナーとして好きよ。恋愛では本当に、晴明様だけを愛している。嘘じゃない。自分に嘘は吐いていない。
あたし達の絆は誰にも負けないほど大きな力を生み出した。そして、その絆がかえって別れを辛くさせる。
でも、いいの。同じくらい、マクベスも辛いんだってわかるんだから。きっと、あたしが辛いのも彼にはわかってる。
だから一緒に立ち上がるの。前を向いて、未来に向かって歩き出すのよ。たまに思い出して泣いてもいいから、前に進みなさい。
「ううん、大丈夫。あたしの想いは何があっても変わらないから」
首を横に振ったあたしは顔を上げ、晴明様を見つめる。大好きな、綺麗な黒い瞳。たとえ地獄でもずっと一緒にいるんだから。
って言おうとしたら、急に強く抱きしめられた。あたしの背中が反らされるほど強く、ギューッときつく抱きしめられる。く、苦しいっ。
「ナツメ、知らねぇだろ。晴明は昔からお前のこと――」
「そのおしゃべりな口を一生開かないようにするよ?空気を読んでさっさと遠くへ離れなさい、馬鹿鬼」
顔が見えないんだけど、そのままの状態で背後の酒呑童子に向けられた言葉に殺意がこもってるんだけど。
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