惰眠童子と呼ばれた鬼

那月

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ヤモリは家守

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 なんて。そもそも仕事を極端に嫌う俺が言えることではないが、疑わざるを得ない事が起こっているのは確か。


「おぬしもわしが苦手なようだな、若い人間の娘よ。すまぬが、わしはトカゲではなくヤモリじゃからな」


「ヤモリのじっちゃん、そんな所にいたら戸で挟まれちゃうのじゃ」


 小娘と俺の目の前に姿を現したヤモリに危うく絶叫しかけた彼女の口を手で塞ぎ、俺は目を細めて「フォッフォッ」と笑うヤモリを手に乗せる。


 長老感たっぷりのヤモリはなぜこんなにも長命なのか。本人曰く「気付いたら寿命が見えなくなっておったのぅ」らしい。つまり、何となく生きていたら普通の寿命を超えてしまったと。


 聞いてもはぐらかされる。きっとヤモリも、キツネのように強い想いがあるんだろう。死にたくない、まだ生きていたいという天命を超える力が。


 この家に先に住み始めたのは俺だが、ヤモリはいつの間にかいた。最初に見かけた頃は普通のヤモリだったのかしゃべることもなかったが。


 ボロ家にヤモリなんて普通過ぎて全く気にならない。なんならクモもゴキブリも、たまに蛇が出る時だってある。気にしないが。だから、ヤモリなんて家の一部だ。


 キツネが転がり込んできた時に初めて「奇々怪々よ、のぅ。フォッフォッフォッ」という声を聞いた。


 うつらうつら寝ていたが、一気に目が覚めて飛び起きた。そうしたら直後にキツネがドアをブチ破ってきて。声の主を探すことも頭から吹っ飛んだ。


 そしてキツネの一件が落ち着いてようやく、もうそろそろ頃合いか、という感じにヌラリと姿を現したヤモリ。


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