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人間の住処
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しおりを挟む「アオキ……蒼く輝く瞳だから、蒼輝!現代風だし、あなたに似合う良い名前だわ。決定ね、今からあなたの名前は蒼輝よ!」
人生で3つ目の名前が蒼輝、か。変な名前だ。それに俺の青い瞳は全く輝いてなんかないないと思うぞ。
……………………まぁ、悪くはない。なんだかこそばゆいような。特別、その名で俺を呼ぶのは許可してやる。感謝しろ。
「勝手にしろ」
「せっかくこのあたしが名前を付けてあげたんだから、呼んだら返事をしなさいよ。ね、蒼輝さん?」
嬉しそうに呼ぶな。数秒前につけられた新しい名が馴染まず、呼ばれても変な感じしかしない。だが、ニコニコして顔の周りに花を咲かせている小娘のためだ。
「返事はしてやる。だがあまり調子に乗るなよ。その名前の使用目的はあくまで、お前を1週間守り抜くという約束のためだからな」
我慢の限界。いつまでも俺の頬に触れている手を払いのけ、トンッと肩を押して再び背を向けた。
ボスンッとベッドに倒れた小娘は「わかってるわよ、それくらい。…………イジワル……」と、横になるがまだ俺の方を向いているようだ。
気配でわかる。それに何より、小娘は思いっきり俺の髪をつかんでいるからな。そんなに俺の綺麗になった髪が気に入ったのか?
いや、それもあるだろうが、小娘はきっと――
「……スゥ……スゥ……」
寝たか。ん!?まさかこいつ、俺の髪をしっかりつかんだまま眠ってしまったのか!やっと解放されたと姿勢を変えようと腰を上げた途端、後ろに引き戻された。
恐る恐る背後をチラ見すると、風呂の時から下ろしている俺の髪をつかんでいる小娘の華奢な腕が見えた。これは、無理だな。諦めよう。
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