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人間の住処
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しおりを挟む離れるつもりはないが、なにぶん動きづらい。髪が長いのがいけなかったか。腰よりも長いからな、切るのが面倒だっただけだが。
カーテンの隙間から差し込む月明かりを眺め、仕方がないと溜め息を吐き、そして目を閉じた。
まったく、キツネが俺だったら慌てふためいて泣いているぞ。そしてこの状況を見て、俺に新しい名前が付けられたと知ったら笑うんだろうな。
俺のことをよく知っているキツネなら、俺に蒼輝なんてシャレた名前が不似合だと腹を抱えて笑うだろう。もちろん、笑った瞬間にブン殴るけどな。
あいつは今頃、客間で寝ているんだろうか。小娘が寝ていた布団でぬくぬくと、熟睡か。
これは小娘が眠っている間に聞いたことだが、キツネは元々空き家だったこの家に住んでいて、あとから小娘が引っ越してきたため屋根裏に移ったらしい。
つまり、元々の住人は仮住まいといえどキツネだったわけだ。それからずっと小娘を見てきたのだから、この家と小娘に愛着が湧いている。
妙なことだが。同じ家に住む者同士、キツネはキツネで、小娘を守ってやりたいという強い想いがあるのだろう。
その小娘はきっと、とても不安で恐怖している。自分から頼み込んだ、本物の鬼の俺でも、本当に卒業まで自分を守ってくれるのか自信がない。
心の底から、真に頼れる人がいないから寂しい。そんなそぶりは一切見せないよう、わざと明るく振る舞っている。
逆に、俺が本物の鬼だから。俺が、小娘に襲いかかるかもしれないという恐怖もある。鬼と名のつくものは昔から、悪いものとされているのだから。
馬鹿な小娘だ。この世に生まれてまだ、たったの18年しか生きていないというのに、死への恐怖が尋常ではない。
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