惰眠童子と呼ばれた鬼

那月

文字の大きさ
100 / 218
偶然は必然

6P

しおりを挟む

 小娘のことかもしれないと相談したところ、安倍にもその正体はわからないという。代わりに、安倍家当主お手製の札を2枚持たされたと。


 2枚とも、種類は違うがあの黒いモヤのように災厄の原因らしきものに直接投げつけて実体化させる札だ。和比呂も作れるが安倍のは陰陽師で1番強力だ。何しろあの、安倍家だからな。


 2枚の札の違いは追々わかるだろう。安倍も昔とは違い、現代に適応するよう進化している。


「安倍様の話は終わりだ。はぁ……何で日本人なのに英語を学ばないといけねぇんだよ。中国語まであるし」


 昼休みが終わり英語の授業が始まったようだ。和比呂のボヤキは完全に無視する。俺は英語はもちろん、日本語でも現代の言葉遣いはわからんからな。


 苦手な授業はやる気が起きないのか、和比呂は俺との会話に集中していた。


 小娘の絵の腕は誰もが認めるもので、美大へは学校推薦、しかも校長の推薦での入学が決まっているんだとか。去年の美術コンクールで金賞をもらったとか。


 話は小娘の話から、俺がキツネと出会った時の話、それから和比呂と小夜の話へと変わった。


 小夜は年上だからなのか、子供の頃から年上ぶることも逆に次期当主にひれ伏すこともなかった。俺が会った時の、おしとやかではあるが強い意志を持ち度胸のある女だった。


 和比呂が宿題や鍛錬をサボっていれば容赦なく叱り。怪我をすれば血相を変えて飛んできて一生懸命に手当てをして。和比呂の父親が亡くなった時は突然のことに泣くこともできなかった彼を、ただ静かに抱きしめた。


 小夜は他の度の男にも心が動くことはなく、和比呂を一途に愛している。それは生まれによるものではなく、運命だと思っていると和比呂は言った。


 火がついたらしい。初めて小夜の手料理を食べた時の話になった時だった。和比呂の声が不自然に止まった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】悪の尋問令嬢、″捨てられ王子″の妻になる。

Y(ワイ)
ファンタジー
尋問を生業にする侯爵家に婿入りしたのは、恋愛戦略に敗れた腹黒王子。 白い結婚から始まる、腹黒VS腹黒の執着恋愛コメディ(シリアス有り)です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。    42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。   下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。  約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。  それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。  一話当たりは短いです。  通勤通学の合間などにどうぞ。  あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。 完結しました。

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...