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永遠の鬼ごっこ
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しおりを挟む「――時久。ただいま」
体が大きくなったこと以外には見た目の変化のない彼は顔を上げ、ニコッと微笑んだ。瞳の光に鋭さが増したか?
「酒呑童子、か?本当にお前なのか?」
「本当に俺様だって。最初にお前の家に泊まった時、悪夢にうなされて眠れなくて、俺の腕の中で大泣きして鼻水垂らしまくってただろ」
………………あぁ、本物の酒呑童子だな。確認の話が酷くてシラけたが。
「歌磨呂は、どうなった?」
「大丈夫だ、今はちょっと俺様の意識が強いだけであいつも俺様と共にある。とびきり美味い茶を点ててやってもいいぜ?」
「それは今度頼む」
お世辞にも手先が器用とは言えぬ酒呑童子。店で抹茶を点てる師範をしていた歌磨呂と融合しているからできる、ということだな。
歌磨呂の体に目覚めた酒呑童子の心が馴染めば、お互いの心が解け合って新しい不和歌磨呂になる。本人も周りも、慣れるまでが大変だろうが。
時間が解決するだろう。また、長い時間を生きればいい。
見た目はキリッとした歌磨呂、雰囲気と口調は酒呑童子。すごく変な感じだ。だが、嬉しい。
酒呑童子という大きな存在を感じる。心臓が、胸と突き破って飛び出てしまいそうなほど激しく暴れて痛い。痛い。あぁ、痛いんだ。
最も近しい友として、愛しい酒呑童子が俺の目の前にいる。約千年ぶりの再会だ。この時をずっとずっと待っていた。待ち焦がれていた。懐かしいなんてものじゃない。
「ふごっ!?」
俺は、酒呑童子をブン殴った。そうすると決めていたからな。
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