惰眠童子と呼ばれた鬼

那月

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永遠の鬼ごっこ

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「時久が思っている以上に苦しんでいた。わけもわからず1人の男を探し続け、だがどうやっても見つからねぇ。何度も絶望していた。俺の影響が中途半端に強く出たせいなんだなって、申し訳ないと思う」


「最初から不和歌磨呂の体に、お前の心だけならよかったのにな。1つの体に心が2つだったから、苦しめてしまった」


「でも良かったってさ。自分の使命をやっと果たせた気がするって。ん、なんだ?……けど、私の人間関係や仕事はちゃんとしてくださいねって。生意気なことを言いやがる。任せろ、俺様を誰だと思っている?この新しい人生、謳歌してやるぜっ!あぁもちろん、時久も一緒にな」


「歌磨呂はお前に似て、心の芯が強い人間だな。混ざり合えばお前のその無駄に強すぎるやる気と野心が、少しは落ち着くといいが」


 ご近所づきあいと仕事はちゃんとしろ。俺が言えたことじゃないが。俺のために働いて稼いで、貢げ。食わせろ。こういうのをなんて言うんだ?あぁそうだ、俺はこいつのヒモになる。


「あぁそうだ。同居しているやつと、下僕を紹介してやろう。100年以上生きるヤモリのヤモリと、俺を命の恩人だという白い妖孤のキツネだ」


「キツネなら見たぞ。まぁ、話したいこともまだまだたっくさんあるだろうが、ここで全部話しちまったら面白くねぇ。とりあえず帰ろうぜ。時久の家に行くの、楽しみだったんだよなぁ」


 話だしたらきりがない。酒呑童子は俺の手を引いて立たせ、そのまま歩き出そうと1歩踏み出した。


「ん、どうした?」


 俺の足は動かない。うつむき口を閉ざした俺に気付いた彼は、心配そうに俺の顔を下から覗く。


 体が動かないんだ。もう、時間なんだ。俺は――


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