能ある鬼は角を隠す

那月

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見られているということ

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「ひっ!?へ、蛇っ……あれ?…………もしかして…………お母様?」


 紅い瞳をいっぱいに広げ青ざめたのは少しの間。腰を抜かすほどの驚きと恐怖に包まれていたのに、琴音はその大きな大蛇の違和感に目を凝らす。


 親しみのある雰囲気。むしろ優しさを感じる。恐怖と戦いながらも見定めた。この大きな大蛇は、自分の母親だと。


 大きな大蛇が笑った、ような気がした。ズズッと大きな頭を広い青空に向けると、大きな大蛇の姿がかすみ始める。


 大きな体全体がかすんで何かわからないほどになると、今度は縦に細長い何かが見える。やがてそれはヒトの形になり。


 再び、紅い目を開けた。いたずらっぽく笑う、女性。琴音の、そして右京と左京の母親である華南だ。


「町のはずれから怪しい男にあとをつけられていたの、助けてくださってありがとうございました。でもさすがにちょっと、さっきの姿は心臓に悪いです」


「だぁってぇ、1発で確実に撤退させるには圧倒的な恐怖と迫力が必要でしょう?だったらぁ、大きな大きな大蛇よねぇ?クスクスッ。あの男、情けない悲鳴を上げながら漏らして逃げてたわよ?」


 とても楽しそうに笑ってはいるが、鬼達の中で唯一、変身の能力を持っている。幻術ではない。


 ずっと敦彦の様子を離れたところから見ていたんだろう。そして、怪しい男の存在に気付いてイタズラ……助けることにした。


 怪しい男が何者なのかまでは追究しなかったが、それは放っておいてもいいと華南が判断したから。


 いやそれよりも、そのあとにまた敦彦が襲われていたから。それも、良くも悪くも有名なクロキツネに。


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