能ある鬼は角を隠す

那月

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見られているということ

15P

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 それはたとえ、華南が両目を閉じ両耳を塞いで縮こまっていてもだめだ。敦彦がやろうとしたことが、三童子以外に気付かれてはならない。


 敦彦が隠していることは多い。幼なじみの和紗も知らないこと。けれど三童子は知っている。


「…………ごめんなさい」


 敦彦の秘密を打ち明けるべき時は必ずある。ただ、まだその時ではない。時を見誤るのを、華南は危惧している。


 華南が、父親の恒彦がいつも気にかけているのを。自分の秘密がどれだけ重大なのかを、敦彦本人がよくわかっているのに。


「謝って済むことじゃないわ。抑えるのを諦めないで。あなたは大事な、最強の懐刀。和紗ちゃんが鬼神になった時、彼女の盾であり剣になるの」


 最弱の敦彦が、なぜ「最強の懐刀」と言われるのか?敦彦は「はい。すみませんでした」ともう1度謝ると、刀に触れる。


「気をつけて。敦彦君は皆から見られているのを、絶対に忘れちゃいけない。いつも必ず、どこかで誰かが見ているの。それがいい鬼か悪い鬼かはわからない」


 今回、華南がずっと敦彦を見ていたから怪しい男から、クロキツネから助けてもらえた。


 けれどそれは、怪しい男もクロキツネも敦彦をずっと見て狙っていたということだ。どんな理由であれ、敦彦は命を狙われた。


 敦彦を守るため。敦彦の命を狙うため。そしてそれ以外の、敦彦を人間だと忌み嫌い遠くから見ている者。色んな鬼が見ている。


 寒気がする。今も、華南以外の誰かに見られているかもしれない。しかし、それも新しい鬼神が決まるまで。


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