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ツノナシ
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しおりを挟む翌日。新しい鬼神を襲名する鬼を決めるための試験、試合がある当日。
候補者達は日が昇り始める頃に集まり、点呼と不正がないかの身体検査を済ませるとすぐに賢さの試験を受ける。
賢さの試験とは、その名の通り頭脳戦。一般の鬼ではわからない難しい読み書きや複雑な算数、地理歴史。それから、過去に人間化した鬼が起こした事件について。
もしも万が一、身内が人間化してしまったら?自分自身が人間化しないために何を心掛けるか?など、知識と心を試す問題が数百。
数時間、休憩もなく解き続けるのだ。その後、昼休憩が終わると賢さの試験を通過した者が発表される。
直後、今度は武の試験が始まる。1対1で、それぞれ得意な武器を持っての試合。刀は木刀ではなく真剣、銃は弾丸をこめる。ただし、殺してはいけない。
人間化した鬼を元に戻す方を見つけなければならない、生け捕りは必要。殺すのは簡単だ。ギリギリ殺さないで相手を制するのも、強さの1つ。
鬼、全てを統べる頂点に君臨する鬼神。それが今日、決まる。
和紗は数少ない女鬼の候補者。部外者を一切近づけさせない、特別に用意された小屋の1つですでに賢さの試験を受けている。
人間同様、女は男よりも力が劣る。けれど和紗には親譲りの才能と、並大抵ではない努力がある。ずっとずっと、体調を崩した時でも鍛錬を怠ることはなかった。
前鬼神の娘のコネではない。そう、陰口を言う鬼もいるが。屈するほどか弱い心を、和紗は持っていない。
武の試験は近くでの応援が許されているが、賢さの試験は尋常ない集中力が必要。周りの音が聞こえて気を紛らわせてはいけないと、厳重な人払いがされている。
その間、敦彦はもちろん和紗を心配していた。
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