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邂逅
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しおりを挟む夜鷹の隠し子って。夜鷹が亡くなったのは37歳の時なのだから、18歳の小紅が隠し子だというのは有り得なくもない。赤黒い髪の色は、偶然なのか同じだな。
裏を返せば、小紅が腹をくくって全てを打ち明けさえすれば高遠は彼女を認めるということになる。
全ては小紅次第。それは彼女がよくわかっていることだ。だから彼女はバッと顔を上げて高遠をまっすぐ見つめてこう言った。
「今は嫌われていても構いません。必ず認めていただけるよう、私、精一杯頑張らせていただきますから。だから、覚悟しておいてください」
何を?一体何を覚悟すればいいというんだ?小紅は高遠に何をするつもりなんだ?変にやる気が出てしまったようだな。
妙なやる気に燃える小紅に見つめられ1歩下がった高遠は「か、勝手にしろっ」と言い残して背を向ける。そのまま、赤くなった顔を隠すように早足に歩き去っていった。
方角的に屋敷へ帰ったか。修繕の人手が足りないようなので、憂さ晴らしでも手伝ってくれればいいのにと思った桜鬼。
まぁきっと、高遠のことだし、自分の部屋に直行してふて寝でもするんだろうと苦笑を漏らす。
「高遠さんだけじゃない。他の方々にも、もちろん桜鬼さんにも、ちゃんと認めていただけるように頑張りますから。見ていてください」
ふと視線を感じて顔を下げると、小紅の赤黒い2つの大きな目が桜鬼の顔を映していた。
力強い瞳は彼女の決意を示す。逃げも隠れもしない。正々堂々と立ち向かう、彼らと向き合うんだと訴えかけている。
今までの怯え、オドオドしていた小紅はどこへやら。これが一時的なものでなければいいのだが。
「どうやら僕は、君を甘く見過ぎているようだね。お手並み拝見と行こうか。でも、まずは着物だ。何をするにも身だしなみは大事だからね」
「本当に、何から何まで申し訳ないです」
「それ。松原さんが言ったように堅苦しすぎるよ。生まれのせいだとしても、こっちまで恐縮してしまうから、僕達と仲良くなりたいのならもう少し肩の力を抜いてみて。ね?」
「力を?…………ど、努力します」
やれやれ、と苦笑しながら首を横に振る桜鬼。力を抜くのに努力、か。これはなかなか、先が思いやられる。
この小紅と言う少女、ただ者ではない。以前に、どこかズレている。
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