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7.元聖女は辺境の地を訪れました。
第194話(ステファン視点)
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後ろからすさまじい音量の咆哮が追いかけてくる。
……もっと速度を上げないと……!
馬の身体全体に魔法で身体強化をかける。前傾姿勢をとって馬の腹を蹴ったその時、身体の周りに風が巻き起こった。
……風の精霊の加護!
後ろから熱風が吹き付けて、斜め前で火の玉がいくつも弾ける。
鬼が放った火球を、風の精霊の加護が軌道を避けてくれたらしい。
怯えたように一瞬速度を落とした馬の首を、落ち着けるため撫でて方向を修正する。
ちらりと後ろを振り返ると、鬼が数十匹、小鬼はもっとついてきているようだった。
うわ、めちゃくちゃ増えてたんだな。
さすがに背筋が冷える。
僕が戦うわけじゃない、逃げるだけなら全然できるだろ!
自分にできることをやればいい!
自分と馬に同時に喝を入れて、また走り出す。
一匹でも取り逃がせばまた増える可能性があるから、ここで一気に片付けておかないと!
父さんのためじゃない、弟と妹のためだ。
本来僕が果たすべきだった領主の子どもとしての役割をあいつらが果たしてくれている。
アイザックは立派な跡取りとして頑張ってくれてるし、フィオナはアイザックとヴィクトリアのことや、いろんなことを気にかけて屋敷内のバランスをとってくれてる。
昔はただ比較されることだけが辛かったけど。でも二人がいなかったら僕はこの土地を離れて、冒険者として他の土地で暮らすことはなかっただろう。
自分がいなくなっても、あいつがいるから、家は大丈夫だろうと思えたからここを、出れた。
二人がこれから困らないように、しっかり鬼は始末しておかないと!
そのために、あいつらの兄として、できることはやるんだ。
草原を全速力で駆ける。
特に信仰はないけど、レイラやエドラさんに出会って、このタイミングで家に帰ってこれたのは、僕なりに家族にできることがあるって思し召しかもしれない。
鬼たちを連れて行きさえすれば、後はアイザックたちが何とかしてくれる。
あいつらは僕と違って強いから。
あと少しだな……!
視線の先に落とし穴を掘った場所が見えてきた。
目を凝らして、エドラヒルさんが目印に植えてくれた花を探す。
また、後ろから火球が襲い掛かってくる。今度は僕の周りを水の壁が包み込み、飛んできた火の玉を飲み込んだ。
驚いた馬が急停止して、わななきながら前足を高く上げる。
……あった!
花の場所を視界にとらえ、そちらに馬の脚を向け、そのまま加速した。
後ろを振り返ると、鬼たちが順調に僕を追ってきている。
よし、このまま。
そのまま花の上を踏みしめて駆け抜ける。
後ろでドドドドドドと鬼たちが穴の底へ崩れ落ちる音がした。
「今だ! かかれ!」
アイザックの声が響いた。
周囲の草むらから、辺境騎士団が飛び出してくる。
……と同時に、爆発音が響き渡って、地面が大きく揺れた。
そのまま馬で駆け抜け、十分に距離を置いたところで旋回すると、落とし穴を作った場所は煙が立ち込めていた。
煙が晴れた後には、鬼の亡骸の山が積み重なっていた。
穴から這い出てくる鬼二体の頭を燃える剣で一刀両断したアイザックがこちらに手を振る。大きく振り返ると、アイザックはぐっと拳を握って見せた。
「ステファン……大丈夫でしたか?」
心配そうな声がしたので振り返ると、ライガの背から降りたレイラがこちらに駆けてきた。
「おかげさまで、大丈夫だよ」
「すげぇな。拍子抜けするほど呆気ないもんだぜ」
ライガが目を凝らしながら穴の方を見る。
さっきまで大きく響いていた鬼の呻き声は、今ではもう微かに聞こえるだけだった。
「お兄様、大体片付いたわ」
土埃まみれになったフィオナが報告に来る。
「アイザック、後は巣の卵の始末をしないと。何人か貸してくれれば、そっちは僕がやるよ」
アイザックに向かって呼びかけると、
「わかりました。ジョッシュ、何人か連れて兄上について行ってくれ!」
命じられたジョッシュはじめ数人の団員が僕の方へ向かってくる。
僕は彼らとライガとレイラに声をかけ、巣の後始末をつけに駆けてきた道を戻った。
……もっと速度を上げないと……!
馬の身体全体に魔法で身体強化をかける。前傾姿勢をとって馬の腹を蹴ったその時、身体の周りに風が巻き起こった。
……風の精霊の加護!
後ろから熱風が吹き付けて、斜め前で火の玉がいくつも弾ける。
鬼が放った火球を、風の精霊の加護が軌道を避けてくれたらしい。
怯えたように一瞬速度を落とした馬の首を、落ち着けるため撫でて方向を修正する。
ちらりと後ろを振り返ると、鬼が数十匹、小鬼はもっとついてきているようだった。
うわ、めちゃくちゃ増えてたんだな。
さすがに背筋が冷える。
僕が戦うわけじゃない、逃げるだけなら全然できるだろ!
自分にできることをやればいい!
自分と馬に同時に喝を入れて、また走り出す。
一匹でも取り逃がせばまた増える可能性があるから、ここで一気に片付けておかないと!
父さんのためじゃない、弟と妹のためだ。
本来僕が果たすべきだった領主の子どもとしての役割をあいつらが果たしてくれている。
アイザックは立派な跡取りとして頑張ってくれてるし、フィオナはアイザックとヴィクトリアのことや、いろんなことを気にかけて屋敷内のバランスをとってくれてる。
昔はただ比較されることだけが辛かったけど。でも二人がいなかったら僕はこの土地を離れて、冒険者として他の土地で暮らすことはなかっただろう。
自分がいなくなっても、あいつがいるから、家は大丈夫だろうと思えたからここを、出れた。
二人がこれから困らないように、しっかり鬼は始末しておかないと!
そのために、あいつらの兄として、できることはやるんだ。
草原を全速力で駆ける。
特に信仰はないけど、レイラやエドラさんに出会って、このタイミングで家に帰ってこれたのは、僕なりに家族にできることがあるって思し召しかもしれない。
鬼たちを連れて行きさえすれば、後はアイザックたちが何とかしてくれる。
あいつらは僕と違って強いから。
あと少しだな……!
視線の先に落とし穴を掘った場所が見えてきた。
目を凝らして、エドラヒルさんが目印に植えてくれた花を探す。
また、後ろから火球が襲い掛かってくる。今度は僕の周りを水の壁が包み込み、飛んできた火の玉を飲み込んだ。
驚いた馬が急停止して、わななきながら前足を高く上げる。
……あった!
花の場所を視界にとらえ、そちらに馬の脚を向け、そのまま加速した。
後ろを振り返ると、鬼たちが順調に僕を追ってきている。
よし、このまま。
そのまま花の上を踏みしめて駆け抜ける。
後ろでドドドドドドと鬼たちが穴の底へ崩れ落ちる音がした。
「今だ! かかれ!」
アイザックの声が響いた。
周囲の草むらから、辺境騎士団が飛び出してくる。
……と同時に、爆発音が響き渡って、地面が大きく揺れた。
そのまま馬で駆け抜け、十分に距離を置いたところで旋回すると、落とし穴を作った場所は煙が立ち込めていた。
煙が晴れた後には、鬼の亡骸の山が積み重なっていた。
穴から這い出てくる鬼二体の頭を燃える剣で一刀両断したアイザックがこちらに手を振る。大きく振り返ると、アイザックはぐっと拳を握って見せた。
「ステファン……大丈夫でしたか?」
心配そうな声がしたので振り返ると、ライガの背から降りたレイラがこちらに駆けてきた。
「おかげさまで、大丈夫だよ」
「すげぇな。拍子抜けするほど呆気ないもんだぜ」
ライガが目を凝らしながら穴の方を見る。
さっきまで大きく響いていた鬼の呻き声は、今ではもう微かに聞こえるだけだった。
「お兄様、大体片付いたわ」
土埃まみれになったフィオナが報告に来る。
「アイザック、後は巣の卵の始末をしないと。何人か貸してくれれば、そっちは僕がやるよ」
アイザックに向かって呼びかけると、
「わかりました。ジョッシュ、何人か連れて兄上について行ってくれ!」
命じられたジョッシュはじめ数人の団員が僕の方へ向かってくる。
僕は彼らとライガとレイラに声をかけ、巣の後始末をつけに駆けてきた道を戻った。
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