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第四章(下)
宿に戻ろう!
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日がすっかり落ちたころ。カフェに一人置いてきぼりにされた俺はその後、リリー達と共に宿に戻っていた。
リリーはベッドに横たわり、スズと俺はベッドの縁に腰掛けている中、一人椅子に座るのは、カフェから無口でついてきた、まるで人形のような見た目をした少女だ。
髪は銀色、目と肌は薄い色で、めっちゃ太陽に弱そうな印象だ。着ているミニスカドレスと、腕と足を覆うタイツには糸が巻き疲れていて... めっちゃ奇抜で派手だ。
この子はカフェの店員さんで、目的の男の姉らしい。
カフェからこの格好で来たってことは... これが接客するときの服で、しかも私服なのか?
「さて、話を聞こうかと思ってましたが... 」
寝そべった状態のリリーが店員さんの顔を見つめ、スズに目を移すと... ため息をついて天井を仰ぐ。
こんなおもしろおかしい摩訶不思議ちゃんが目の前にいるというのに、スズはなぜか目をキラキラと輝かせていない。まるで借りてきた猫のように、おとなしく静かに店員さんを見ている。
なんだこの違和感?スズなら真っ先に食いつくような見た目をしているのに、興味を表に出そうとしないなんて...
「あなた、今晩家に帰らないと不都合ですか?そうでなければ、ゆっくりと話を聞くため、一晩だけ泊っていって欲しいのですが」
「... どうせ拒否権なんて無いのでしょう?一晩くらいなら大丈夫ですよ」
なんとなくだが... リリーはこの店員さんの弟に確実になにかがあると踏んでいるっぽいな。でなきゃとっとと情報抜き出して終わらせるだろうし。
するとリリーは再びスズの顔を伺い... ため息をつく。
「... スズ、私はスズが物語を追う事に対して怒っているんじゃないんです」
その言葉にスズは、しょんぼりとしたように顔を俯かせる。
うーん... 何かあったのは確実なんだろうな。でなきゃお互いがお互いに顔を伺いあうのはおかしいし...
「ぃでっ!?」
「... 今日は疲れました。へっぽこ、寝る準備です」
「え、でもまだ晩御飯とか... いでっ!?」
二発も... 二発も頭を蹴られた... 何かしらの地雷を踏んでしまったのか...?
「スズ、確か隣の二人部屋を使っていましたよね?その店員の女を見張っていてくれますか?ついでに話を聞いてください」
「え、スズに!?... いでぇよっっ!!!?」
そんな思い切りかかと落とししなくても...
「よろしいのですか?」
「... 」
リリーのこの顔... まるで自分の子供を怒り過ぎてちょっと罪悪感を抱いている時の俺の親みたいだ... ジェットコースターのように感情の緩急が激しくなるんだよな。
あとで何があったのか聞いてみよう。
スズを見ると、口角が上がり下がりして、目のキラキラが点滅したりしている。
「そ、それでは店員さん。私の部屋に来ていただけますか?」
「良いですよ」
バタンッ..
ちょっとしたスズの動揺は収まらないまま、店員さんと共に部屋の外に出ていく。
ベッドの上のリリーを見ると、いつものような不機嫌な顔で天井を見つめていた。
「な、なあ。スズと何があったんだよ」
「チッ... 」
あ、見た目以上にめっちゃ不機嫌だ。たたられないようにもう触らない方が良いかな...
「じゃ、じゃあ俺、歯でもみがいてくるよ。メイには晩御飯いらないって伝えて... 」
「... 今日、久しぶりにスズを叱りました」
「え?」
ああ... だからあんな気まずそうな雰囲気だったのか。
「あまり気分の良いものでは無いですね。あまりにも深い傷を負っていたので、つい感情的になってしまいました」
「血を失う?スズは店員さんと戦ったのか?」
「はい。立ちくらみが起きるほど血を失っていました」
スズの服が破れてたからそうだろうなとは思ってたが、リリーに注意されるような程の事態になっていたとは...
「あれ?でもスズほどの強さなら、普通の人に遅れを取ることなんて無いんじゃないか?」
なんたってスズは、目に見えないほど素早く、大木を打ち倒すほどに強い突きを繰り出し、そしてその大木を投げ飛ばすほどの筋力、そして大量に絡まったツタをジャンプだけで根っこから引きはがす脚力の持ち主。そんな化け物みたいな人物に深手を負わせるだなんて...
「なのであの店員、強くはありませんが面白い戦い方をするようです」
「... え?」
面白い戦い方?
「奇天烈な武器を使うようですし、ついでに頭がきれるのか、性格が異様なのか... とにかく普通ではない戦い方を見せたんでしょうね」
「... ん?」
… スズは絡め手に弱いのかな?
「ええと、あの店員さんが善戦したってことか」
「いえそうではなくて... 」
「スズが虚をつかれたってことかな?」
「ああもう!想像力に乏しいですね!」
そ、想像力!?
「スズは戦闘狂いなんですよ。今まではあなたの前でちゃんと戦う機会が無かっただけです」
「せ、戦闘狂い!?」
物語狂いの上に戦闘狂い... こんなスズが次の国王ってマジ。
「物語好きの延長みたいなものなんですよ。奇妙な手が混じったり、頭脳戦を交えたり、二転三転する戦いが好きなんです。今までは模擬戦でしかそういう面を出さなかったんですが、今日、実戦でタガが外れてしまったようです」
いや、ただ単にものすごい物語狂いなだけだった。
「いやでも、スズの能力があれば深手を負っても... 」
「はい、怪我だけなら問題ありません」
え... なんだろう、精神的なものとか、洋服の問題かな。
「ですがスズは、魂に干渉し、体内の栄養素を操って体を治癒するんです。血を失い過ぎれば死にます」
「... そっか、それは心配だよな」
それがスズの弱点か...
いやでも、スズから大量に血を奪うのは難しくね?
「あれ?でも、スズの顔色はいつも通りだったよな。やっぱ回復力が早いんじゃ... グフッぅ!?」
瞬間、今まで天井を仰いで目を瞑っていたリリーは、ギッと目を開いて俺を睨み... 俺の顔面に蹴りを食らわせる。
そしてその力でベッドから転げ落ちる俺。不機嫌そうな顔のまま天井を仰ぎ、目を瞑るリリー...
「そんな事どうでも良いです。ただ単に私の機嫌が悪いという話をしているだけです」
「はあ... まあでも、リリーはスズの事を想って叱ったんだろ?それはスズも分かっているだろうし、気に病む事は無いんじゃないかな」
「頭では分かっているんですよ... ん?あなた、いやに嬉しそうですね」
「いやまあ... なんか、リリーからの悩み相談みたいなのが新鮮で」
その言葉にリリーは俺をギッと睨み...
あ、すいません。調子に乗りました。
そしてリリーはゴロンと、俺から顔を背けるように寝返りを打つ。
「別に... メイが忙しいのであなたに話す事しか出来ないだけですよ」
「... 」
… 俺はリリーのように感情を読めない。
だがなんとなく、直感で、憶測で分かるような気がする。
リリーは... 今猛烈に照れている。
リリーはベッドに横たわり、スズと俺はベッドの縁に腰掛けている中、一人椅子に座るのは、カフェから無口でついてきた、まるで人形のような見た目をした少女だ。
髪は銀色、目と肌は薄い色で、めっちゃ太陽に弱そうな印象だ。着ているミニスカドレスと、腕と足を覆うタイツには糸が巻き疲れていて... めっちゃ奇抜で派手だ。
この子はカフェの店員さんで、目的の男の姉らしい。
カフェからこの格好で来たってことは... これが接客するときの服で、しかも私服なのか?
「さて、話を聞こうかと思ってましたが... 」
寝そべった状態のリリーが店員さんの顔を見つめ、スズに目を移すと... ため息をついて天井を仰ぐ。
こんなおもしろおかしい摩訶不思議ちゃんが目の前にいるというのに、スズはなぜか目をキラキラと輝かせていない。まるで借りてきた猫のように、おとなしく静かに店員さんを見ている。
なんだこの違和感?スズなら真っ先に食いつくような見た目をしているのに、興味を表に出そうとしないなんて...
「あなた、今晩家に帰らないと不都合ですか?そうでなければ、ゆっくりと話を聞くため、一晩だけ泊っていって欲しいのですが」
「... どうせ拒否権なんて無いのでしょう?一晩くらいなら大丈夫ですよ」
なんとなくだが... リリーはこの店員さんの弟に確実になにかがあると踏んでいるっぽいな。でなきゃとっとと情報抜き出して終わらせるだろうし。
するとリリーは再びスズの顔を伺い... ため息をつく。
「... スズ、私はスズが物語を追う事に対して怒っているんじゃないんです」
その言葉にスズは、しょんぼりとしたように顔を俯かせる。
うーん... 何かあったのは確実なんだろうな。でなきゃお互いがお互いに顔を伺いあうのはおかしいし...
「ぃでっ!?」
「... 今日は疲れました。へっぽこ、寝る準備です」
「え、でもまだ晩御飯とか... いでっ!?」
二発も... 二発も頭を蹴られた... 何かしらの地雷を踏んでしまったのか...?
「スズ、確か隣の二人部屋を使っていましたよね?その店員の女を見張っていてくれますか?ついでに話を聞いてください」
「え、スズに!?... いでぇよっっ!!!?」
そんな思い切りかかと落とししなくても...
「よろしいのですか?」
「... 」
リリーのこの顔... まるで自分の子供を怒り過ぎてちょっと罪悪感を抱いている時の俺の親みたいだ... ジェットコースターのように感情の緩急が激しくなるんだよな。
あとで何があったのか聞いてみよう。
スズを見ると、口角が上がり下がりして、目のキラキラが点滅したりしている。
「そ、それでは店員さん。私の部屋に来ていただけますか?」
「良いですよ」
バタンッ..
ちょっとしたスズの動揺は収まらないまま、店員さんと共に部屋の外に出ていく。
ベッドの上のリリーを見ると、いつものような不機嫌な顔で天井を見つめていた。
「な、なあ。スズと何があったんだよ」
「チッ... 」
あ、見た目以上にめっちゃ不機嫌だ。たたられないようにもう触らない方が良いかな...
「じゃ、じゃあ俺、歯でもみがいてくるよ。メイには晩御飯いらないって伝えて... 」
「... 今日、久しぶりにスズを叱りました」
「え?」
ああ... だからあんな気まずそうな雰囲気だったのか。
「あまり気分の良いものでは無いですね。あまりにも深い傷を負っていたので、つい感情的になってしまいました」
「血を失う?スズは店員さんと戦ったのか?」
「はい。立ちくらみが起きるほど血を失っていました」
スズの服が破れてたからそうだろうなとは思ってたが、リリーに注意されるような程の事態になっていたとは...
「あれ?でもスズほどの強さなら、普通の人に遅れを取ることなんて無いんじゃないか?」
なんたってスズは、目に見えないほど素早く、大木を打ち倒すほどに強い突きを繰り出し、そしてその大木を投げ飛ばすほどの筋力、そして大量に絡まったツタをジャンプだけで根っこから引きはがす脚力の持ち主。そんな化け物みたいな人物に深手を負わせるだなんて...
「なのであの店員、強くはありませんが面白い戦い方をするようです」
「... え?」
面白い戦い方?
「奇天烈な武器を使うようですし、ついでに頭がきれるのか、性格が異様なのか... とにかく普通ではない戦い方を見せたんでしょうね」
「... ん?」
… スズは絡め手に弱いのかな?
「ええと、あの店員さんが善戦したってことか」
「いえそうではなくて... 」
「スズが虚をつかれたってことかな?」
「ああもう!想像力に乏しいですね!」
そ、想像力!?
「スズは戦闘狂いなんですよ。今まではあなたの前でちゃんと戦う機会が無かっただけです」
「せ、戦闘狂い!?」
物語狂いの上に戦闘狂い... こんなスズが次の国王ってマジ。
「物語好きの延長みたいなものなんですよ。奇妙な手が混じったり、頭脳戦を交えたり、二転三転する戦いが好きなんです。今までは模擬戦でしかそういう面を出さなかったんですが、今日、実戦でタガが外れてしまったようです」
いや、ただ単にものすごい物語狂いなだけだった。
「いやでも、スズの能力があれば深手を負っても... 」
「はい、怪我だけなら問題ありません」
え... なんだろう、精神的なものとか、洋服の問題かな。
「ですがスズは、魂に干渉し、体内の栄養素を操って体を治癒するんです。血を失い過ぎれば死にます」
「... そっか、それは心配だよな」
それがスズの弱点か...
いやでも、スズから大量に血を奪うのは難しくね?
「あれ?でも、スズの顔色はいつも通りだったよな。やっぱ回復力が早いんじゃ... グフッぅ!?」
瞬間、今まで天井を仰いで目を瞑っていたリリーは、ギッと目を開いて俺を睨み... 俺の顔面に蹴りを食らわせる。
そしてその力でベッドから転げ落ちる俺。不機嫌そうな顔のまま天井を仰ぎ、目を瞑るリリー...
「そんな事どうでも良いです。ただ単に私の機嫌が悪いという話をしているだけです」
「はあ... まあでも、リリーはスズの事を想って叱ったんだろ?それはスズも分かっているだろうし、気に病む事は無いんじゃないかな」
「頭では分かっているんですよ... ん?あなた、いやに嬉しそうですね」
「いやまあ... なんか、リリーからの悩み相談みたいなのが新鮮で」
その言葉にリリーは俺をギッと睨み...
あ、すいません。調子に乗りました。
そしてリリーはゴロンと、俺から顔を背けるように寝返りを打つ。
「別に... メイが忙しいのであなたに話す事しか出来ないだけですよ」
「... 」
… 俺はリリーのように感情を読めない。
だがなんとなく、直感で、憶測で分かるような気がする。
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