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第43話 二番目どうし
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綾乃と別れて、僕と愛莉は電車の中にいた。愛莉はワインのせいか、少し顔が赤かった。
「なんだか……、ごめんなさいね。森岡君の恋路を邪魔しちゃって」
愛莉が、僕が綾乃の事を好きだ、と言ったとき綾乃は笑って相手にしなかった。
事務所でキスをしたとき、もしかして綾乃も少しは僕に好意を持っているのではないかと考えていたのだが、いくら男性経験がないとはいえ、僕は恋愛の対象外と言う事なのだろう。
「川本さん、誤解ですよ。確かに宮下さんには憧れているけど、恋愛の対象じゃないです」
「分かったわ、これ以上は言わない。森岡君が誰を好きかなんて、わたしには関係ないものね」
と言うと、愛莉は大きく欠伸をした。
「大丈夫ですか? 川本さん」
「う~ん、やっぱりワインは少し効いたかも」愛莉は眠そうに目を擦った。
愛莉の自宅は、東京の郊外、僕の最寄り駅よりも先だった。僕が先に降りることになるが、大丈夫だろうか、と心配になる。
「ねえ、わたし、帰るのがめんどくさくなっちゃった」
「はあ……」
「森岡君の家に泊めてくれる?」
愛莉をこのまま返すのも心配だ。僕の部屋に泊まって、翌朝にでも帰った方が安全だと僕は判断する。
「良いですよ。 狭くてむさ苦しいところだけど、どうぞ、使ってください」
僕は、ごく自然に答えたつもりだったけど、愛莉はびっくりした様な表情を見せた。
「へ~、本当に変なトコだけオトナなんだね」
そう言うと、僕が好きな彼女の笑顔を見せてくれた。
「なんだか、宮下さんも川本さんも、僕の事を子供扱いするから、凹んでしまいます 笑」
「ウフフ、褒めてるんだけど。森岡君って大人の余裕があるなって」
「そうですか? よく分からないです」
電車は、僕の最寄り駅に着き、愛莉と一緒に降りる。
「コンビニに寄って行ける? 明日、このまま学校に行くけど、下着だけは変えたいから」
コンビニに寄ると、愛莉はショーツと一緒にビールも買っている。
「まだ飲むのか!?」と内心あきれるが、彼女のカゴの中をチラ見して、僕は驚いた。
(こ、コンドームが入っている!?)
僕に、そのつもりはないし、愛莉も、そんなつもりで僕の部屋に泊まる訳ではないだろうと思っていたので少し動揺してしまう。
僕は、気づかないフリを決め込んだ。
「へ~、結構、綺麗な所に住んでるんだね」
僕の部屋に入ると、愛莉は、部屋を見渡して、そう言った。
女の子をこの部屋へ入れるのは、小梢が来たとき以来だ。まだ癒えていない傷が、ズキンとした。
「わたしの他に、誰か入ったこと、あるの? この部屋」
愛莉は、まるで何度も入ったことのある部屋であるかの様にくつろいで、テーブルの脇に座り、コンビニの袋からビールを二缶取り出した。
「やっぱり、飲むのか」と内心、舌を巻く。
「一人だけ……、一か月ほど前に」
「ふ~ん、カノジョ?」
僕は、無言で首を横に振った。
あまり触れられたくない。
「ま、いっか。わたしには関係ないし。さ、飲もうよ」
「あの……、酔っぱらったんじゃないんですか?」
「うん、だから、これ飲んだら寝るよ」
「シャワー浴びなくても大丈夫ですか?」
「う~ん、やっぱり、この時期、臭うかな?」
そう言うと、愛莉は自分の肩を寄せてクンクンとさせた。
「やっぱり、臭うね 笑
やっぱり、シャワー貸して。でも、着替えがないから、これをそのまま着ることになるし、やっぱり臭いままなんだよね」
「だったら、僕のトレーナーを貸してあげますから、それを着てください」
「そう? じゃあ、お言葉に甘えて。あ、ついでにタオルもお願い」
僕がタオルを渡すと、愛莉は浴室へと消えていった。
暫くすると、シャワーが流れる音がした。小梢がシャワーを浴びていた時、心を落ちつかせるのに、必死だったのがウソのように、落ち着いていられた。
愛莉に、その気がないのは分かっていたし、僕も空気は感じ取っているから、間違いは起きないと思っているからだ。
だったら、なぜ愛莉はコンドームを買っていたのだろう?
「なんだか……、ごめんなさいね。森岡君の恋路を邪魔しちゃって」
愛莉が、僕が綾乃の事を好きだ、と言ったとき綾乃は笑って相手にしなかった。
事務所でキスをしたとき、もしかして綾乃も少しは僕に好意を持っているのではないかと考えていたのだが、いくら男性経験がないとはいえ、僕は恋愛の対象外と言う事なのだろう。
「川本さん、誤解ですよ。確かに宮下さんには憧れているけど、恋愛の対象じゃないです」
「分かったわ、これ以上は言わない。森岡君が誰を好きかなんて、わたしには関係ないものね」
と言うと、愛莉は大きく欠伸をした。
「大丈夫ですか? 川本さん」
「う~ん、やっぱりワインは少し効いたかも」愛莉は眠そうに目を擦った。
愛莉の自宅は、東京の郊外、僕の最寄り駅よりも先だった。僕が先に降りることになるが、大丈夫だろうか、と心配になる。
「ねえ、わたし、帰るのがめんどくさくなっちゃった」
「はあ……」
「森岡君の家に泊めてくれる?」
愛莉をこのまま返すのも心配だ。僕の部屋に泊まって、翌朝にでも帰った方が安全だと僕は判断する。
「良いですよ。 狭くてむさ苦しいところだけど、どうぞ、使ってください」
僕は、ごく自然に答えたつもりだったけど、愛莉はびっくりした様な表情を見せた。
「へ~、本当に変なトコだけオトナなんだね」
そう言うと、僕が好きな彼女の笑顔を見せてくれた。
「なんだか、宮下さんも川本さんも、僕の事を子供扱いするから、凹んでしまいます 笑」
「ウフフ、褒めてるんだけど。森岡君って大人の余裕があるなって」
「そうですか? よく分からないです」
電車は、僕の最寄り駅に着き、愛莉と一緒に降りる。
「コンビニに寄って行ける? 明日、このまま学校に行くけど、下着だけは変えたいから」
コンビニに寄ると、愛莉はショーツと一緒にビールも買っている。
「まだ飲むのか!?」と内心あきれるが、彼女のカゴの中をチラ見して、僕は驚いた。
(こ、コンドームが入っている!?)
僕に、そのつもりはないし、愛莉も、そんなつもりで僕の部屋に泊まる訳ではないだろうと思っていたので少し動揺してしまう。
僕は、気づかないフリを決め込んだ。
「へ~、結構、綺麗な所に住んでるんだね」
僕の部屋に入ると、愛莉は、部屋を見渡して、そう言った。
女の子をこの部屋へ入れるのは、小梢が来たとき以来だ。まだ癒えていない傷が、ズキンとした。
「わたしの他に、誰か入ったこと、あるの? この部屋」
愛莉は、まるで何度も入ったことのある部屋であるかの様にくつろいで、テーブルの脇に座り、コンビニの袋からビールを二缶取り出した。
「やっぱり、飲むのか」と内心、舌を巻く。
「一人だけ……、一か月ほど前に」
「ふ~ん、カノジョ?」
僕は、無言で首を横に振った。
あまり触れられたくない。
「ま、いっか。わたしには関係ないし。さ、飲もうよ」
「あの……、酔っぱらったんじゃないんですか?」
「うん、だから、これ飲んだら寝るよ」
「シャワー浴びなくても大丈夫ですか?」
「う~ん、やっぱり、この時期、臭うかな?」
そう言うと、愛莉は自分の肩を寄せてクンクンとさせた。
「やっぱり、臭うね 笑
やっぱり、シャワー貸して。でも、着替えがないから、これをそのまま着ることになるし、やっぱり臭いままなんだよね」
「だったら、僕のトレーナーを貸してあげますから、それを着てください」
「そう? じゃあ、お言葉に甘えて。あ、ついでにタオルもお願い」
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暫くすると、シャワーが流れる音がした。小梢がシャワーを浴びていた時、心を落ちつかせるのに、必死だったのがウソのように、落ち着いていられた。
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