不倫研究サークル ~大学生編~

むかいぬこ

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第61話 今後の事

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「ミカン先輩、ご無沙汰してます」

「森岡、アナタ、いま何時だと思ってるのですか?」

「あれ、そっか……、時差があるんでした、そっちは何時ですか?」

「もうすぐ日付が変わりますよ」

「すみません、久しぶりにミカン先輩の声が聞きたくなりました」

「まあ、良いでしょう。 ワタシも森岡の声が聞きたいと思っていたところでした」

「ミカン先輩、僕にも、やりたいことが、目標ができました」
僕は、美栞に思いの内を語った。

「なるほど、森岡らしい発想ですね。 それにしてもそんな過去があったとは、アナタ、ワタシに内緒にしてましたね」

美栞に土門華子に関わる一連の事を話したのは初めてだった。

「卒業まで実質二年ですね、単位を取るのも大変だと思いますが、森岡なら大丈夫でしょう。 ワタシが好きになった男ですから」

「ありがとうございます。 ミカン先輩に言われると自信がつきます」


夏休みももうすぐ終わる。僕は東京に戻ってっから、自分の目標に向けて何が必要なのか整理していた。

通常なら、二年次からの三年間でやらなければならない事を、僕は三年次からの二年間でやろうとしている。

おそらく、これから卒業するまで時間は、少しでも無駄にできないくらい忙しいだろうと覚悟していた。


それに、愛莉の事も放っておけなかった。

今日は、そのために綾乃と会う事になっている。
カテマッチの運営の仕事を愛莉に引継ぎ、彼女の仕事を確保しようというのが、僕の思惑だ。うまくいけば、愛莉の生活も安定する。

身支度を終え、僕は久しぶりに綾乃のマンションへと足を向けた。彼女の部屋へ入るのは、愛莉と付き合い始めてから綾乃と身体の関係を断って以来だ。


「圭君……、きっと戻って来てくれると思ったわ」

部屋に入るなり、綾乃がすり寄ってくる。

「綾乃さん、今日は、そんなつもりじゃ」と言いつつも、つい綾乃の肩を抱いてしまう。

「分かってるわ、でも、これくらいのスキンシップは許して」

綾乃からは、いつもより濃いめの香水の匂いがした。愛莉を最後に抱いて以来、女性を感じるのは久しぶりで、たちまち理性を失いそうになる。

「あ、あまり近すぎると……、話ができません」

「んふ、じゃあ、手を離して」

綾乃は、僕の胸にあてていた手を離し腕をだらんと下げた。しかし、僕は綾乃の肩を抱いたままだ。

「どうしたの? 圭君も私を離して」

勝ち誇ったような目で、綾乃は僕を見つめる。唇には濃いめのルージュが塗られ艶やかに光っていた。

「これは……、まずい」と思うが、抑えが効かない。

綾乃が目を閉じるのを合図に、僕はそっと唇を、ルュージュで光る綾乃の唇に合わせた。



~・~・~



「圭君、久しぶりだったの? 随分と激しかったじゃない」

すでに日付も変わっていたが、僕はまだ綾乃のベッドの中にいた。

「すみません、僕から別れてくださいとお願いしたのに」

僕は、自分の意志の弱さを恥じた。こんなことで、来年からの二年間を頑張れるのだろうかと不安になる。

「圭君は、相変わらずクソ真面目ね 笑」

綾乃は、愛おしそうに僕の胸や肩に手を滑らせた。綾乃の手を握りながら、今日ここへ来た本当の目的について話を切り出した。

「今日は、お願いがあって来たのですが、こんなことになっては話せないので、明日にします」

「また 笑
仕事の事だからって、あらたまらなくても良いわよ、そういう所がクソ真面目なのよ。言ってごらんなさい」

本当に、こんな状態で話しても良いのだろうかと戸惑ってしまうが、要件は済ませられるものなら、済ませた方が良い。

「実は、運営の仕事なのですが、来年から忙しくなるので別の人に引き継ぎたいと思ってます」

「まあ、身体の関係だけでなく仕事の関係も絶とうというの? 私のことが嫌いになった?」

「嫌いになったら、こんな事しませんよ」

「うふふ、そうよね、分かっているわよ。何かやろうとしてるのね」

「はい、目標ができたので、その為に忙しくなりそうなんです」

「どんな目標?」綾乃に問われるが、話が長くなりそうなので、本題を先に済ませることにする。

「それは、今度ゆっくり話します。今日は先ず、後任の事を相談したかったんです」

「誰か、あてがあるの? サークルの後輩?」

「え……と、川本さんです」

愛莉の名前を出した途端、綾乃の態度が豹変した。

「それは、ダメ!」

予想通りだ。愛莉は妊娠したことで受け持っていた家庭教師のコマを他の家庭教師に代わってもらい、運営に混乱を招いていた。

それに、綾乃と別れた原因も愛莉だという事が知られている。


(これは……、簡単に説得できそうにないな……)




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