官能小説 バス通りの花屋 夫婦の愛とは

小笠原雅

文字の大きさ
5 / 12

美月の過去 ゲームの様な恋心

しおりを挟む
8、美月の過去

 美月は夫の悠太の運転する軽四自動車に乗って高速道路を走っている。夫の寺崎悠太は45歳の会社員で実家は山間の漁村にある。  
 今日は親戚のおじさんの法事があるので2人で車に乗って向かっている。娘は今回は学校の都合で行けない。珍しく美月と悠太の2人で旅行と言うことになった。
 早いうちから予定がわかってたので、日曜日の法事に合わせて土曜日から出て近くの観光地で一泊してから、おじさんの家に行くことにした。

 こうして仲良く2人で車に楽しく乗っているのが不思議なぐらいだった頃、2人の関係に大きな変化が起こった。もう3年ぐらい経つのかもしれない。

 悠太はハンドを握りながらその頃を思い出していた。それは美月の体験から始まる。

 その頃。
 町内会の関係で役を引き受けた時、頻繁にその会の男性が美月の家に出入りするようになった。出入りといっても玄関先での立ち話で男は年齢のわりに若く見えるし話しも楽しい。
 美月から見て良い男に見えた。悠太は仕事で忙しく夜遅く帰って来ては疲れたばかり、夫婦仲も疎遠、子供も大きくなって手がかからなくなった頃、明るく世話好きな人柄が次第にその男に美月の心が惹かれていた。
 夏の町会行事で大掛かりな祭りの時、お酒をたくさん飲まされてほろ酔いになった美月を、その男は上手くお宮さんの建物の影に誘い込んだ。
 手を掴まれ強く引っ張り奥に誘い込まれ、無理矢理美月にキスを迫った。
 その時はうまく逃げたが、その時の心のドキドキが忘れられない。何か甘く切ない思いにさせる。恋をしたい主婦には最高の餌になるんだろう。
 ある日の夜、その男の会社の事務所で町会の資料の整理をみんなでしようと頼まれた。 
 時間を作って向かったら美月とその男と2人だけだった。美月は男の匂いと怪しい雰囲気に気付いていた。薄い露出の高い服を選んだし、下着も選んだ。男はお茶を用意してくれて簡単な作業を説明した。
 また強引な事があるのかしらとワクワクしてしまう、それ以上は立場もあって出来ないだろうゲームみたいな軽い遊びを楽しんでいる。
「またね山田さんが無理な事言うんだよね」
「またですか?」美月も楽しそうに答えた。
「無理な事を真面目な顔で言うんだよね」
 いつもの役員さんの笑い話や次の行事の苦労話し、そのあと少し沈黙があった。
「いい匂いするよね」
 美月のノースリーブのブラウスから出てる肩のラインが男には色っぽく見える。ブラウスが透けて花柄のブラのカップ浮き出てる。男の目がぎらついているのに、美月は嫌な気がしない、少しドキドキする。少し男の顔を覗いて見た。男の目がハッキリ欲情してる。
美月は視線が胸に張り付いている感覚にゾクゾクした。胸の突起が引っ張られる気がして自然に背筋が伸びてしまう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...