別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

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勇者とは

もしもし、ギルドマスター?

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 スナドリの街、門の前に居る衛兵は、遠くから空を飛び近づいてくる人影を見て目を丸くしていた。

「なっ、ま、魔人か!?」

 ぐんぐんと近づいてくるそれは、街の入り口に降り立ち、茶色い髪をなびかせる。

「こんにちは。勇者ラミッタです」

 勇者の証明書を提示し、ラミッタはそう告げた。

 武器を握りしめていた兵士が、慌てて敬礼をし、街へと案内する。

 その後を必死に走ってきたレモーヌが、息を切らしながら追いかけた。

 そのまま二人で冒険者ギルドまで歩き、中へと入る。

「こんにちは、ギルドマスターに用事があるのだけど」

 ラミッタはもう一度、勇者の証明書を取り出し、受付嬢に見せた。

「ゆ、勇者様!? か、かしこまりました!!」

 受付嬢の言葉に、ギルドは少しざわつく。

 冒険者の視線をチラチラと浴びながらも、すました顔でラミッタは待っていた。

 しばらくして、廊下の向こうから、白いあごひげを蓄えた初老の男性がやってくる。

「勇者様、ようこそおいで下さいました。ギルドマスターのアカシと申します」

「どうも、ギルドマスターさん。それで、少し人の居ない場所で話したい事があるのですが」

「かしこまりました。どうぞこちらへ」

 案内される前に、ラミッタはレモーヌに手を向けて言った、

「あぁ、そうそう。彼女も事情を知る者なので、同席しても構いませんか?」

「レモーヌがですか? かしこまりました」

 ラミッタとレモーヌは奥の応接室に案内される。

 緊張しているレモーヌと、慣れた様子のラミッタ。

 ラミッタは早速話を始めた。

「単刀直入に要件をお話します。先ほど魔人を捕らえました」

「魔人を、ですか!?」

 ギルドマスターは驚いて少しだけ目を見開く。

「えぇ、無力化をして、街の外でもう一人の勇者が見張りに付いています」

「そうでしたか……」

「なので、王都に連絡を入れ、指示を仰ぎたいのですが」

「かしこまりました。すぐに連絡石で連絡を取りましょう」

 ギルドには触れると対になった石が光るという希少だが便利な物があった。

 石の効果が発揮できる距離はそう遠くないが、ギルドをいくつも中継し、遠方に要件を伝えることは可能だ。

 ラミッタは、魔人の事と、偽物勇者の事をギルドマスターへ簡潔に伝えた。

「よろしくお願いします。私は街の外に戻り、魔人を監視し続けますので」

「承知しました。お気を付け下さい。レモーヌ、この事は他言無用でな」

「は。はい!!」

「それと、もし勇者様がよければですが、こちらのレモーヌに、しばらく勇者様の身の回りのお世話をさせては頂けませんか?」

 やっと解放されると思っていたレモーヌは思わず固まる。

「え、わ、私がっすか!?」

「えぇ、助かります」

 あわあわとしだすレモーヌだったが、勝手に話はまとまってしまった。

「心配するな、レモーヌ。報酬は出す」

 そういう問題じゃないと言いかけた言葉を飲み込んで、レモーヌは苦笑いをしていた。
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