裏庭が裏ダンジョンでした@完結

まっど↑きみはる

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反乱の勇者

反乱の勇者 2

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 カミト達の戦いを尻目に魔法使いのイズミもリーダー格のエルフに応戦をした。

「最速で最短で速攻で片付けるわよ!!」

 ダンっと強く足で地面を踏みつけると、そこから氷の刃が無数に浮かび上がり、エルフの元へ飛ぶ。

「面白いね、俺も真似しちゃお」

 そう言うと、なんとエルフはイズミと全く同じ方法で同一の術を使ったのだ。

 氷の刃同士がぶつかり合って砕け散る。その中から真っ直ぐに矢が飛んできた。

 矢はイズミの腕をかすめて、僅かながら傷を作った。

「ごめんね、若い女の子は傷付けたく無かったんだけど」

「それだったら、おとなしくしていて貰えないかしら?」

 イズミは両手を前に突き出してそこから業火を吹き出した。それと同時にまた地面を踏み込んで、魔力を込める。

 エルフは風の魔法で業火を吹き飛ばしたが、地面から伸びる拘束魔法に足を捉えられてしまった。

「あら、もう終わりかしら」

 そう余裕そうに言ったがイズミは違和感を覚える。これ程の使い手がこんな安い罠にかかるはずがない。

 相手の実力は常にそれ以上にも以下にも見てはいけない。それは死を意味する。

「いや、動く必要が無いんでね」

 エルフが言った瞬間、イズミは目眩がした。フラついて立つことも出来ず、膝を付いて、そのままうつ伏せに倒れてしまう。

「安心してよ、死ぬ毒じゃない。しばらくおやすみなさい、美人さん」

 エルフは矢に毒を塗っていた。それは麻酔薬だ。かすめただけでも、しばらく動けなくなる。

「イズミ!!」

 ネックと剣を交えているカミトは叫ぶ。

「少々貴殿を買い被っていたかな? 戦いの最中によそ見とは」

 そうネックは言うと同時に、カミトを袈裟斬りに斬りつけ、兜の後ろ、隙間へと剣を振り下ろした。

 カミトはドサリと倒れるが、血は吹き出していない。

「死なない程度に峰打ちだ。まぁしばらくは動けまい」

 ネックとリーダー格のエルフは戦いを終えて城の中へと入ろうとする。

「待て!!!」

 それと同時に声が聞こえた。振り返るとそこには勇者サツキ達が居た。

「まずいな、勇者相手じゃ時間稼ぎぐらいしか出来ないぞ」

 エルフが言うとネックは剣を持ち直して返事をする。

「元よりそのつもりだ」

「それ以上動かないでくれよ。こっちには勇者アシノが人質としているんだ」

「くっ……」

「構うな!! やれ!!」

 アシノはそう言うが、ムツヤ達は動けない。そんな中でモモが一言、言葉を放った。

「父……上……?」

「元気そうだなモモ、お前の活躍は聞いているぞ」

 その会話を聞いて思わず皆の視線がモモとネックを行き来した。

「えっ!? えぇー!? モモちゃんのお父さん!?」

 ルーは思わず声を上げる。しかし、モモは固まったままだ。

「キエーウを壊滅させた事、父として同胞として、誇りに思うぞ」

 あれ程までに夢に見た父との再開は、思わぬ形で果たされた。
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