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勇者の決断
勇者の決断 2
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「だけど、いま現状で1つ問題があるのよねー」
ルーが言うと皆がそちらを見る。
「ヨーリィちゃんの魔力の補充なんだけど」
そう言うとムツヤパーティの皆が「そうだった」と思い出した。
「確かに…… そうだったな」
ちゃんとそういう所は考えていたんだなと感心をするが、これは現状一番の問題だ。
「ヨーリィ、魔力は後どれぐらい持つ?」
「節約をすれば3日持ちます」
「3日か……」
アシノは頭を悩ませた、3日でムツヤを捜索せねば、ヨーリィが危ない。
「あの、私の魔力ではダメですか?」
サワがそう言って身を乗り出す。
「お願いしても良いですか?」
背に腹は変えられない。アシノが言ってヨーリィを見ると、トコトコとサワの元へ歩いていった。
サワは手を握り、ヨーリィに魔力を送ってみる。そして無限に魔力が吸い取られる感覚に驚いた。
その間、アシノ達はまた話を始める。最初に口を開いたのはモモだった。
「ムツヤ殿に、何か手がかりがあれば良いのですが」
「そんなもん、例の赤い玉でムツヤに連絡を取ればいいだろ」
アシノが言うと、そうだったとモモは思い出した。
予備の赤い玉を取り出して壁にぶつけるが、割れずにコロコロと転がるだけだ。
「何らかの妨害でも受けているのか?」
アシノが言うと、うーんと考えてルーが発言する。
「そうだ! ムツヤっちは魔剣を持っているでしょ? 探知盤でどうにかならないかしら?」
キエーウとの戦いで活躍した探知盤だったが、すっかり忘れてしまっていた。
「ギルスに連絡をして、探知盤を見てもらうか」
アシノは赤い玉を壁に投げつける。すると、研究に没頭しているギルスが映し出された。
「はいはい、お久しぶり。何かあったのかい?」
「実はな……」
アシノは今起きたことをギルスに話し始める。
「そうか、せめてムツヤくんが飛び去った瞬間に探知盤を見られれば、方角も分かったんだがな……」
ギルスの言葉にうっかりしていたとアシノは反省した。
「そうだな、すぐにでも連絡をするべきだった。私のミスだ」
「終わったことは仕方がないよ、勇者アシノ。それよりこれからの事を考えないとな。そこでいい話が1つある」
「何よ、もったいぶらないで言いなさいよギルス!!」
ルーが騒ぐと「うっせぇわ!」と言った後ギルスは話し始める。
「まだ試験段階なんだが、探知盤の距離が従来の10倍近く先を見られる様になったんだ」
「じゅ、10倍ですか!?」
ユモトが驚く、モモもそれを聞いてかすかな希望を覚えた。
「あぁ、探知盤の核の石に雷属性のゴイスー超振動を秒間1万パルス以上与えると、ツカント反応が起きて、ガヤジクニ状態になる。それを……」
サワとルー以外はギルスが何を話しているのか分からないでいる。それに気付いたギルスがあーっと言った後に話す。
「多分、サワさんに伝えればそっちの探知盤でも出来ると思うから、頼みましたよ」
「はい、分かりました!」
「やー!! 私だって出来るもん!!」
ルーが悔しそうにしているが、知らんふりをしてギルスは話の続きをした。サワはヨーリィの手を握りながら聞き続ける。
「どうやら私達が聞いても意味は無さそうだな、その探知盤が出来るまでの間はゆっくりと休むか」
「えぇ、そうっすね。サワには悪いが任せて俺達は休みますか」
そういう事で、いったん各自休憩を取ることにした。
部屋でウトウトとしていたら、イタヤは夢を見ていた。昔の、自分がまだ村で自警団をやっていた時の事だ。
イタヤとウリハの出身の村は、かなり強い魔物が現れる地域だった。
裏庭が裏ダンジョンだったムツヤ程ではないが、そんな環境で過ごす2人は、その辺の冒険者の数倍強い。
「おし、今日もこんなもんで終わりか!」
イタヤがふぅっと一息ついて言う。
その日、2人はカマキリのような魔物と戦っていた。産卵の時期に入っていたので、数を減らしておいたのだ。
「そうだね、帰るか」
剣を鞘に収めて年の離れた幼馴染のウリハが言う。「おうよ」と返事をしてイタヤも帰り支度をした。
帰り道、ふと思い出したウリハが話し始める。
「冒険者の推薦の件、受けないのか?」
イタヤはうーんと言った後に、言葉を口にした。
「いや、良いんだ。俺もいい年だし、冒険者始めますって年齢じゃない。それに俺はこの村が好きだからな」
「そうか」
イタヤは実力を認められて、中級の冒険者としての推薦を受けている。そりゃ若い頃は冒険者に憧れたが、今更って感じもしていた。
「サワは王都の学校に行ったんだろ? アンタだって夢を追っても良いんじゃないか?」
「俺が出ていったらお前が泣いちゃうだろ?」
「清々するな」
「釣れねぇなー」
お互い慣れた感じに軽口を叩く。そんな時、イタヤがふと、嫌な予感を感じた。
ルーが言うと皆がそちらを見る。
「ヨーリィちゃんの魔力の補充なんだけど」
そう言うとムツヤパーティの皆が「そうだった」と思い出した。
「確かに…… そうだったな」
ちゃんとそういう所は考えていたんだなと感心をするが、これは現状一番の問題だ。
「ヨーリィ、魔力は後どれぐらい持つ?」
「節約をすれば3日持ちます」
「3日か……」
アシノは頭を悩ませた、3日でムツヤを捜索せねば、ヨーリィが危ない。
「あの、私の魔力ではダメですか?」
サワがそう言って身を乗り出す。
「お願いしても良いですか?」
背に腹は変えられない。アシノが言ってヨーリィを見ると、トコトコとサワの元へ歩いていった。
サワは手を握り、ヨーリィに魔力を送ってみる。そして無限に魔力が吸い取られる感覚に驚いた。
その間、アシノ達はまた話を始める。最初に口を開いたのはモモだった。
「ムツヤ殿に、何か手がかりがあれば良いのですが」
「そんなもん、例の赤い玉でムツヤに連絡を取ればいいだろ」
アシノが言うと、そうだったとモモは思い出した。
予備の赤い玉を取り出して壁にぶつけるが、割れずにコロコロと転がるだけだ。
「何らかの妨害でも受けているのか?」
アシノが言うと、うーんと考えてルーが発言する。
「そうだ! ムツヤっちは魔剣を持っているでしょ? 探知盤でどうにかならないかしら?」
キエーウとの戦いで活躍した探知盤だったが、すっかり忘れてしまっていた。
「ギルスに連絡をして、探知盤を見てもらうか」
アシノは赤い玉を壁に投げつける。すると、研究に没頭しているギルスが映し出された。
「はいはい、お久しぶり。何かあったのかい?」
「実はな……」
アシノは今起きたことをギルスに話し始める。
「そうか、せめてムツヤくんが飛び去った瞬間に探知盤を見られれば、方角も分かったんだがな……」
ギルスの言葉にうっかりしていたとアシノは反省した。
「そうだな、すぐにでも連絡をするべきだった。私のミスだ」
「終わったことは仕方がないよ、勇者アシノ。それよりこれからの事を考えないとな。そこでいい話が1つある」
「何よ、もったいぶらないで言いなさいよギルス!!」
ルーが騒ぐと「うっせぇわ!」と言った後ギルスは話し始める。
「まだ試験段階なんだが、探知盤の距離が従来の10倍近く先を見られる様になったんだ」
「じゅ、10倍ですか!?」
ユモトが驚く、モモもそれを聞いてかすかな希望を覚えた。
「あぁ、探知盤の核の石に雷属性のゴイスー超振動を秒間1万パルス以上与えると、ツカント反応が起きて、ガヤジクニ状態になる。それを……」
サワとルー以外はギルスが何を話しているのか分からないでいる。それに気付いたギルスがあーっと言った後に話す。
「多分、サワさんに伝えればそっちの探知盤でも出来ると思うから、頼みましたよ」
「はい、分かりました!」
「やー!! 私だって出来るもん!!」
ルーが悔しそうにしているが、知らんふりをしてギルスは話の続きをした。サワはヨーリィの手を握りながら聞き続ける。
「どうやら私達が聞いても意味は無さそうだな、その探知盤が出来るまでの間はゆっくりと休むか」
「えぇ、そうっすね。サワには悪いが任せて俺達は休みますか」
そういう事で、いったん各自休憩を取ることにした。
部屋でウトウトとしていたら、イタヤは夢を見ていた。昔の、自分がまだ村で自警団をやっていた時の事だ。
イタヤとウリハの出身の村は、かなり強い魔物が現れる地域だった。
裏庭が裏ダンジョンだったムツヤ程ではないが、そんな環境で過ごす2人は、その辺の冒険者の数倍強い。
「おし、今日もこんなもんで終わりか!」
イタヤがふぅっと一息ついて言う。
その日、2人はカマキリのような魔物と戦っていた。産卵の時期に入っていたので、数を減らしておいたのだ。
「そうだね、帰るか」
剣を鞘に収めて年の離れた幼馴染のウリハが言う。「おうよ」と返事をしてイタヤも帰り支度をした。
帰り道、ふと思い出したウリハが話し始める。
「冒険者の推薦の件、受けないのか?」
イタヤはうーんと言った後に、言葉を口にした。
「いや、良いんだ。俺もいい年だし、冒険者始めますって年齢じゃない。それに俺はこの村が好きだからな」
「そうか」
イタヤは実力を認められて、中級の冒険者としての推薦を受けている。そりゃ若い頃は冒険者に憧れたが、今更って感じもしていた。
「サワは王都の学校に行ったんだろ? アンタだって夢を追っても良いんじゃないか?」
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---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
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