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勇者の決断
勇者の決断 3
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「何か気配を感じる」
「あぁ」
イタヤが言うとウリハは探知スキルを使った。気配は村の方からだ。
「村の方だ、急ぐぞ!!」
「何だと!?」
2人は走り出した。村には自警団も、国からの兵士も交代で見張りが居る。杞憂であってほしい。
「っ!!!」
加速の魔法を使い、全力疾走し、息を切らしながら村が見下ろせる場所まで来て、一瞬目の前の景色を認めたくなかった。
どこから現れたのか、魔物の群れが村へ向かっている。
「このっ!!!」
イタヤが走り出して村へ向かおうとするが、その手をウリハが握って引っ張った。
「何すんだウリハ!!!」
「馬鹿!! あんな軍勢、私達だけで相手に出来るか!! 助けを呼ぶんだよ!!」
イタヤはウリハの手を振りほどこうとしたが、更に強く握られてしまう。
「それならお前だけ行ってくれ!! 俺は戦う!!」
「無茶だ!!」
「自警団が逃げたら!! 誰が村を守るんだ!!」
「いい加減にしろ!!!」
ウリハはイタヤの顔を一発平手打ちする。
「あんな数の魔物、どう考えても異常事態だ。私達が行っても死ぬだけだ!! 今は助けを呼ぶしか無いんだ!!!」
その後にウリハが付け加えた。
「助けが来たら戦う、逃げるわけじゃない!!」
じんじんとする頬が頭を冷やしてくれる。確かに、あんな魔物の群れと戦ったら、自分は無駄死にするだけだろう。
近くの街に連絡石の信号が送れる距離まで加速の魔法を使っても10分、それから援軍が来るとして30分、ダメだ。村が消えてしまう。
そう分かっていても、イタヤは村に背を向けて走り始めた。悔しさで歯が折れるのではないかと思うぐらい歯を食いしばる。
連絡石の信号が届く場所まで来ると、急いで指先で信号を送った。
そして、くるりと来た道を引き返す。
街には軍隊も治安維持部隊も居る。早く来てくれと願うしか無い。
「いいか、分かっているとは思うが、戦うのは軍隊が着いてからだ」
「あぁ……」
上の空にウリハの言葉に返事をするイタヤ。
だが、また村を見下ろして目を疑った。
「村が……」
そこには、先程までうじゃうじゃ居た魔物が1匹も居なかった。しかし、それは喜ばしいことではなかったのだ。
村中の建物は倒壊し、粉みじんになり、消えていた。
全て、消えていた。
イタヤは膝から崩れ落ちた。体も心も脱力し、目の前の残酷な現実を、非現実のように認めないことしか出来なかった。
「村が……」
小さく呟く。
「ウリハ……」
「村が……」
不思議と涙は出なかった。現実感が無かったからだろう。それはウリハも同じだった。瞳孔が開いた目で目の前を見つめて、口をパクパクさせる事しか出来なかった。
イタヤは村があった場所まで行くと、瓦礫に向かって叫んだ。
「誰か、誰か居ないのか!?」
死体の1つでもあれば、まだ現実感が湧くというものなのだろう。生きた人間も、死んだ人間も、そこには居なかった。
「何が、何が起きたんだよ!!!」
イタヤが叫ぶと、ウリハも忘れていた涙がふっと溢れてくる。
その時、思った。俺がもし強かったら、もっともっと強かったら、村を守れた。全部守れた。
冒険者になるにしては遅い年だったが、故郷を失ったイタヤはこうして冒険者になってしまう。
「あっ!!」
イタヤはそんな声を出して飛び起きる。部屋にはウリハが居た。
「どうした?」
「いや、村の、あの時の夢を見ていた……」
そう言うと呆れてウリハが返す。
「アンタ、何度目だい? その夢」
「忘れられるもんじゃねぇさ……」
はーっと息を吐いてイタヤの近くまでウリハはやって来た。
「昼飯でも食うかい? サワの分も作ってやらないとならないし」
今、街は混乱状態で飯屋はやっていない。久しぶりに無駄に美味いウリハの料理を食べる事になりそうだ。
「あぁ、頼んだ!!」
アシノ達の部屋では皆、ソワソワしていた。爆睡するルー以外はだが。
サワもユモトもヨーリィに魔力を送ってみたが、焼け石に水状態だった。
ユモトは一体ムツヤさんはどれ程の魔力を送っていたのだろうと考える。
「ユモト、そろそろ魔力を温存しておけ。戦いになるかもしれないからな」
「あ、はい……。そうですね」
「ヨーリィも戦いは私達に任せて、消耗しない事だけを考えろ」
「わかった」
そんなアシノ達の部屋にウリハが1人で訪ねてきた。
「皆さん、昼飯を作ろうと思うのですが、食べますか?」
「えぇ、ありがとうございます」
アシノが言った後ユモトとモモが立ち上がり「お手伝いします」と言うが、ウリハは断る。
「いえ、今日は1人で村の郷土料理を作ろうと思いますので。大丈夫です。皆さんは休んでいて下さい」
それならばと、ありがたく休ませてもらう事にした。
「あぁ」
イタヤが言うとウリハは探知スキルを使った。気配は村の方からだ。
「村の方だ、急ぐぞ!!」
「何だと!?」
2人は走り出した。村には自警団も、国からの兵士も交代で見張りが居る。杞憂であってほしい。
「っ!!!」
加速の魔法を使い、全力疾走し、息を切らしながら村が見下ろせる場所まで来て、一瞬目の前の景色を認めたくなかった。
どこから現れたのか、魔物の群れが村へ向かっている。
「このっ!!!」
イタヤが走り出して村へ向かおうとするが、その手をウリハが握って引っ張った。
「何すんだウリハ!!!」
「馬鹿!! あんな軍勢、私達だけで相手に出来るか!! 助けを呼ぶんだよ!!」
イタヤはウリハの手を振りほどこうとしたが、更に強く握られてしまう。
「それならお前だけ行ってくれ!! 俺は戦う!!」
「無茶だ!!」
「自警団が逃げたら!! 誰が村を守るんだ!!」
「いい加減にしろ!!!」
ウリハはイタヤの顔を一発平手打ちする。
「あんな数の魔物、どう考えても異常事態だ。私達が行っても死ぬだけだ!! 今は助けを呼ぶしか無いんだ!!!」
その後にウリハが付け加えた。
「助けが来たら戦う、逃げるわけじゃない!!」
じんじんとする頬が頭を冷やしてくれる。確かに、あんな魔物の群れと戦ったら、自分は無駄死にするだけだろう。
近くの街に連絡石の信号が送れる距離まで加速の魔法を使っても10分、それから援軍が来るとして30分、ダメだ。村が消えてしまう。
そう分かっていても、イタヤは村に背を向けて走り始めた。悔しさで歯が折れるのではないかと思うぐらい歯を食いしばる。
連絡石の信号が届く場所まで来ると、急いで指先で信号を送った。
そして、くるりと来た道を引き返す。
街には軍隊も治安維持部隊も居る。早く来てくれと願うしか無い。
「いいか、分かっているとは思うが、戦うのは軍隊が着いてからだ」
「あぁ……」
上の空にウリハの言葉に返事をするイタヤ。
だが、また村を見下ろして目を疑った。
「村が……」
そこには、先程までうじゃうじゃ居た魔物が1匹も居なかった。しかし、それは喜ばしいことではなかったのだ。
村中の建物は倒壊し、粉みじんになり、消えていた。
全て、消えていた。
イタヤは膝から崩れ落ちた。体も心も脱力し、目の前の残酷な現実を、非現実のように認めないことしか出来なかった。
「村が……」
小さく呟く。
「ウリハ……」
「村が……」
不思議と涙は出なかった。現実感が無かったからだろう。それはウリハも同じだった。瞳孔が開いた目で目の前を見つめて、口をパクパクさせる事しか出来なかった。
イタヤは村があった場所まで行くと、瓦礫に向かって叫んだ。
「誰か、誰か居ないのか!?」
死体の1つでもあれば、まだ現実感が湧くというものなのだろう。生きた人間も、死んだ人間も、そこには居なかった。
「何が、何が起きたんだよ!!!」
イタヤが叫ぶと、ウリハも忘れていた涙がふっと溢れてくる。
その時、思った。俺がもし強かったら、もっともっと強かったら、村を守れた。全部守れた。
冒険者になるにしては遅い年だったが、故郷を失ったイタヤはこうして冒険者になってしまう。
「あっ!!」
イタヤはそんな声を出して飛び起きる。部屋にはウリハが居た。
「どうした?」
「いや、村の、あの時の夢を見ていた……」
そう言うと呆れてウリハが返す。
「アンタ、何度目だい? その夢」
「忘れられるもんじゃねぇさ……」
はーっと息を吐いてイタヤの近くまでウリハはやって来た。
「昼飯でも食うかい? サワの分も作ってやらないとならないし」
今、街は混乱状態で飯屋はやっていない。久しぶりに無駄に美味いウリハの料理を食べる事になりそうだ。
「あぁ、頼んだ!!」
アシノ達の部屋では皆、ソワソワしていた。爆睡するルー以外はだが。
サワもユモトもヨーリィに魔力を送ってみたが、焼け石に水状態だった。
ユモトは一体ムツヤさんはどれ程の魔力を送っていたのだろうと考える。
「ユモト、そろそろ魔力を温存しておけ。戦いになるかもしれないからな」
「あ、はい……。そうですね」
「ヨーリィも戦いは私達に任せて、消耗しない事だけを考えろ」
「わかった」
そんなアシノ達の部屋にウリハが1人で訪ねてきた。
「皆さん、昼飯を作ろうと思うのですが、食べますか?」
「えぇ、ありがとうございます」
アシノが言った後ユモトとモモが立ち上がり「お手伝いします」と言うが、ウリハは断る。
「いえ、今日は1人で村の郷土料理を作ろうと思いますので。大丈夫です。皆さんは休んでいて下さい」
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