裏庭が裏ダンジョンでした@完結

まっど↑きみはる

文字の大きさ
432 / 574
魔人と少女

魔人と少女 3

しおりを挟む
 ラメルは剣をくるくると回して、刃の部分を握り、柄の部分をミシロに差し出す。

 それと同時に、城主が部屋の中へと入って来た。ミシロはまた震えだす。

「1分」

 そう突然言われてミシロは前を見る。魔人は冷たい顔をしていた。

「1分以内にアイツを殺せばキミの勝ち。見逃してあげる。出来なかったらキミの負け、この場で殺す」

 ミシロはカチカチと歯を鳴らして必死に意識を保っていた。

「握って」

 柄がぐいっと差し出される。

「握れ」

 命令され、やっとミシロは両手を出して、グッとそれを握った。

「それじゃ、よーいスタート」

 ミシロはベッドから立つことも出来ないでいる。はぁはぁと荒い息だ。

「ちょっとサービスしてあげる」

 ラメルが城主の背後に立って言うと、遠くを見つめていた城主がハッと意識を取り戻す。

「な、なんだ!! ……っ体が!?」

 体は動かないままだが、声を聞いてミシロはギュッと目を瞑った。

「何故お前がここに!?」

 地下から出歩いているミシロを見て、自分の体よりも驚きが勝ってしまった。

「お前の仕業か!? いや、お前ごときがこんな事出来るはずもないか……。ともかく穢らわしい体で私の寝室を穢すな!!」

 ミシロが握る剣もお構いなしに罵声を浴びせる。その時、ミシロが立ち上がった。

「おい、剣を置け、何をするつもりだ、やめろ!!」

 剣を振りかざそうとして、ミシロは固まる。

「……出来ません。出来ません……」

「そう、じゃあ死ね」

 ラメルが右手に魔力を込め、声で城主がその存在に気付いた。

「何だ、誰か居るのか!? どうなっているんだ!?」

「弱いキミはこうやって奪われ奪われ、惨めに死ぬんだよ」

 ラメルの「奪われ」という言葉でミシロは思い出す。

 そうだ、この男は私から全てを奪った。家族も、尊厳も、未来も!!

 傷だらけの少女の目には覚悟が宿った。自分のことだけなら許せる。

 だけど、こいつは……

 ミシロは強く剣を握り、まっすぐに城主を見据えた。

「よせ、やめろ!!」

「うわあああああ」

 走って目を瞑り、剣を振り下ろす。

 何かに当たる強い抵抗を感じた後はすっと剣は下りていった。

「ぐがあああああああ!!!」

 城主の声にならない叫び、太い動脈を切ったのか血が吹き出していた。もう助からないだろう。

「1分過ぎちゃったけど、おまけしてあげる」

 ラメルがくすっと笑って言った。

「キミの勝ちだよ。キミのことは見逃してあげる。今は、ね」

 崩れ落ちて呆然としているミシロの頭から言葉が降りかかる。

「私は……、私は……」

「何? あぁ、そうか。キミは死にたいんだったっけ」

 そうだ、自分には買える場所も未来も無い。こんな人生ここで終わりにしたかった。

「私はどうすれば……」

 ミシロはまた泣き始める。面倒くさそうにラメルはそれを見ていた。

「じゃあ私の部下になってよ」

 ハッと前を向く。

「私ね、この世界をメチャクチャにしたいの。手伝ってくれない?」

「世界をメチャクチャに……?」

 その言葉を口に出した瞬間、不思議と自分の中に高揚感が溢れた。

 理不尽で大嫌いなこの世界。メチャクチャにして壊したい……、壊したい!!!

「したいです。したいです!! メチャクチャに!!!」

「そう、わかったわ」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】 世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。 「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。 ・神話級ドラゴン  ⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺) ・深淵の邪神  ⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決) ・次元の裂け目  ⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い) 「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」 本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……? 「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー! 【免責事項】 この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。 ※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

処理中です...