裏庭が裏ダンジョンでした@完結

まっど↑きみはる

文字の大きさ
473 / 574
下剋上

下剋上 6

しおりを挟む
 デュラハンの返事はなかった。代わりに剣で貴族の首を刎ねる。

 悲鳴が上がった後、残った家族達も魔物の群れが押し寄せて、食いちぎられる。

「ふ、ふふははははは!!」

 ナツヤはかつて無い爽快感を味わっている。俺は人生に、運命に打ち勝った。

 そんな時、トロールが城内から出てきた。子供を3人担いで。

 子供は泣いて「助けてー!!」と叫んでいた。デュラハンとナツヤ達の前にトロール達はやって来る。

「まだ生き残りが居たか、どうなさいますか? ナツヤ様」

 そう聞かれてナツヤは戸惑う。相手は子供だ、それに泣いている。

「殺さないの? ナツヤ」

「いや、殺すって……」

 ナツヤは先程までの高揚はどこへやら、肝を掴まれたような気分になっていた。

「まさかさ、ナツヤ。子供には罪が無いなんて考えてる?」

 フユミトに心の中を見透かされたように言われ、何も言葉が返せない。

「で、でも子供にはっ!!」

 そこでフユミトに言葉を遮られる。

「この子供はナツヤ達が鉱脈で働いた犠牲の上に幸せを享受きょうじゅしていたんだよ。皆が一生食べられないようなごちそうを食べて、いい服を着て、苦しみもなくふわふわのベッドで寝ていたんだ」

 それを聞いてナツヤの心は揺れ動いた。

「憎いやつの子供だったってだけで罪になるには充分じゃない? それにこの子供達は大きくなったらあの鉱脈の主になっていたんだろうね」

「それは……。そうかもしれない……」

 ナツヤは歯を食いしばって下を向き返事をした。子供達は泣きわめいている。

「泣けば助かると思ってるのかな? ナツヤは泣いて助けてもらえた?」

「違う……」

「それに、見逃したら子供達は助けてもらったなんて思わないよ? 僕達を親の仇として一生恨む」

 ナツヤは荒い息をする。自分はなんて選択をしたら良いんだと。

「いかがなさいましょう? ナツヤ様」

 デュラハンに聞かれる。周りの魔物達もよだれを垂らし、今にも飛びかかりそうだ。

 でもダメだ、やっぱり子供は、憎いけど子供は……。

「おい、やっちまおうぜ!!」

「新入りの言う通りだ、ガキだって許せねぇ!!!」

 周りで話を聞いていた鉱夫達もそんな声を上げていた。

「や、やめ……、や……」

 ナツヤは戸惑いながら言葉が漏れていた。皆がナツヤを見ている。









「やれ!!!! 殺せ!!!!!」





 ナツヤは自分でも叫んでしまった事に驚いた。魔物が子供達に一斉に飛びかかる。

 一際大きな悲鳴の後に何も聞こえなくなった。

「これで、憎い貴族様は皆死んだね」

 淡々と言うフユミト、ナツヤは目の前の光景から視線を逸らしたくて彼の顔を見る。

 目が合うとニッコリと笑い返してくれた。

「従者たちはいかがなさいましょう?」

 デュラハンが聞くとナツヤは悩んだ。そこまでは考えていなかった。

「お腹すかない、ナツヤ? 食事でも作ってもらおう」

「そ、そうだな」

「かしこまりました。おい、従者共!! 死にたくなければ食事を用意しろ!!」

「か、かしこまりました!!!」

 弾けたように従者共は城の中へ入る。

「ナツヤ様、死体の処理は我々にお任せ下さい。ナツヤ様はお疲れでしょう。お休み下さい」

「だってさ、ナツヤ。ご飯できるまで城の中でも見学しようよ」

「え、あぁ、そうしよう」

 ナツヤはどこか心あらずだった。ナツヤとフユミト、鉱夫達はぞろぞろと城の中へと入る。

 見たこともない綺麗な装飾品や貴金属がそこらかしこに置いてある。

 食堂らしき場所にたどり着くと、ナツヤ達はそこで食事が来るのを待つ。

「おーい、早くしてくれ。パンでも何でもいいから持ってきてくれよー」

 一人の鉱夫がそこに居たメイドに言う。

「か、かしこまりました!!」

 メイドは急ぎ足で厨房に向かっていく。その後ろ姿を鉱夫達はギラギラした目で追っていた。

「ひひっ、女だ。久しぶりに見た女だ」

「中々上玉だよな、流石貴族様だ」

「あのでかい胸、たまんねぇな」

 上品な空間に似つかわしくない下品な会話を始める。

 しばらくして、たっぷりのパンと野菜のスープが届けられた。

「俺達、肉も食いてーなー」

「かしこまりました!! 調理中ですのですぐお持ちします!!」

「なぁ、コレ毒とか入ってないよな……」

 鉱夫が心配して言うが、フユミトはお構いなしにスープをすすった。

「多分大丈夫だよ、毒なんて城に無いだろうし。おいしいよ」

 そう聞いて生唾を飲んだ後に鉱夫達はスープに手を付けだした。ナツヤも一口飲む。

 野菜の優しい甘みと、コクが口に広がり、パンもふわっふわで美味しい。

「かーうめぇ!!!」

 夢中で食べる鉱夫達、ナツヤも何口か食べた後に言う。

「美味しい。ほんと、美味しい」

 気付けば何故か涙が溢れていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】 世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。 「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。 ・神話級ドラゴン  ⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺) ・深淵の邪神  ⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決) ・次元の裂け目  ⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い) 「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」 本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……? 「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー! 【免責事項】 この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。 ※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...