裏庭が裏ダンジョンでした@完結

まっど↑きみはる

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下剋上

下剋上 7

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「ヒャッハッハ肉だー!!」

 焼いた肉と香ばしいソースの匂いが部屋に立ち込める。気品ある部屋でテーブルマナーも何もない者達がそれを貪り食った。

「うめぇ、うめぇよ!!!」

「俺、生きてて良かった……」

 皆の言う通りだ。こんなもの生きていて初めて食べた。だが、殺した貴族達には何てこと無い日常の食べ物だったのだろう。

 そう考えると、殺したはずの貴族に、また殺意が湧いた。

 腹一杯に食事を詰め込むと、フユミトが言う。

「ご飯も食べたし、お風呂でも入ろうか?」

「風呂だって? ずいぶん呑気だな……」

 鉱夫が言うと、別の鉱夫もそれに便乗して言った。

「そうだよ、貴族殺しちまったんだぜ? 早く金目の物を盗んでトンズラしねぇと……」

 そうだそうだと声が上がるが、フユミトは言う。

「大丈夫だよ、ナツヤの力なら普通の軍隊じゃ勝てない。それこそ勇者でもないと」

 その言葉に皆が黙る。

「僕達、汗臭いよ、お風呂入っていい服に着替えよう」




 フユミトはメイド達に風呂の用意をさせていた。大浴場に皆が集まる。

「おぉ、すげー!!!」

 大きな風呂は湯気を放ち、見るからに気持ちよさそうだった。

「石鹸でよく体を洗ってから入ってね」

 風呂に走ろうとする鉱夫をフユミトは止める。「そうだった」と鉱夫は笑った。

 いい香りのする石鹸で体を洗う。汚れがひどいのか、泡が立たなかったので何度も洗った。

 ナツヤはザパーンと勢いよく風呂に入った。本当に心地よい。まるで天国に来たかのようだ。

「どう、ナツヤ。気持ちいいかい?」

「あぁ、本当に、本当に気持ちいいよ」

 湯から顔だけ出してナツヤは言った。

「でもさ、フユミト、俺は、俺達はこれからどうすれば良い?」

 そこまで言いかけたナツヤの口にフユミトは人差し指を置いた。

「それはお風呂出た後にしよう? 今はゆっくりすればいいさ」

 それもそうだなと思ったナツヤ。今だけはこの心地よさを感じていたかった。



 風呂を出た皆は、上物の服へ着替えていた。そして先程、食事をした食堂へ集まる。

「皆、僕達はもう自由だ」

 フユミトとナツヤはテーブルの端に立ち、そう言い放った。歓声が巻き起こる。

「奪われた分を奪い返そう」

 皆がそれに賛同し、一人、また一人と席を立つ。
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