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下剋上
下剋上 8
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誰かは貴金属を集め、また他の誰かはメイドの手を掴み部屋へと消えていった。
残されたのはナツヤとフユミトの二人だけだ。
「ナツヤはどうするの?」
フユミトに聞かれるも、ナツヤは戸惑って言う。
「いや、どうしたら良いのか、正直分からない」
「そっか」
そう言ってフユミトは笑顔を作る。
「明日までは時間があると思う。だから、ゆっくりと考えれば良いさ」
とりあえずと、ナツヤは金目になりそうな物を城を見学しながら漁る。
夜になり、うまい食べ物を腹一杯に食べると、眠気がやって来た。
「そろそろ寝ようかな」
フユミトが席を立ったので、ナツヤも後を追うように立ち上がる。
「あ、俺も」
適当に見つけていた豪華な部屋のベッドに腰掛けた。寝床というものはこれ程までに柔らかい物なのかと思う。
今日一日で色々な事があり、疲れたが、逆にナツヤは眠れなくなっていた。
「あのさ、フユミト。フユミトの事を聞きたいんだけど」
「何だい?」
フユミトも眠らずに隣のベッドで返事をする。
「フユミトって、あの鉱脈に来る前に何をしていたの?」
「そうだね……」
しばらくの沈黙があった後に話し始める。
「とても暗くて狭い場所に閉じ込められてたよ」
「そっか……」
暗くて狭い場所とはどこか、気になったがフユミトにも思い出したくない事ぐらいあるだろうと、詮索はやめておいた。
ナツヤは夜が明ける前に目が覚めた。
「おはようナツヤ」
それを見透かしたかのようにフユミトに声を掛けられる。
「あぁ、おはようフユミト」
「ねぇ、日の出でも見に行かない?」
日の出と言われて何故と思ったが、断る理由も無いので頷く。
二人は城壁から東を眺めた。段々と空が明るくなっていく。
「知ってる? 夜明けって難しい言葉で『黎明』って言うんだ」
「そうなんだ」
夜明け、ナツヤにとっては、この置かれた状況も人生の夜明けだった。
辛く苦しいことから開放され、ここから人生が始まる。
ナツヤは登ってきた日に思わず手を伸ばした。
「ナツヤはこれからどうするの?」
赤い日差しを浴びてフユミトは尋ねる。
「俺は……、俺はどうすれば良いのか分からない」
「そっか」
視線をナツヤから太陽へとフユミトは移した。
「フユミトは、フユミトはどうするんだ?」
「僕かぁ……」
しばらく沈黙した後、フユミトは話し始める。
「このままだったら、ここからお金やお金になりそうな物を貰って国外に逃げるかな」
「やっぱり、そうか」
ナツヤの相槌にフユミトはクスッと笑って話し続けた。
「もしも、僕がもしもナツヤの立場だったら。他の弱くて虐げられている人たちを助けるかな」
言われてナツヤはハッとする。
「ナツヤにはその力がある。人を救う力が、国を変える力が」
ナツヤは心が高揚すると同時に、使命感のようなものが芽生えた。
「俺が、俺が国を……」
「そうだよ、ナツヤは人の苦しみを知っている。きっと良い王様になるよ」
「王様だなんて……」
フユミトはニコニコ笑って冗談じゃなく心から言っているみたいだ。
「王様は別に良いけど、弱い人を助けることは……。したいかもしれない」
鉱山で自分が受けた仕打ち、絶望。そんな事を味合わずに生きる貴族、支配者たち。
今度はナツヤの心は怒りで燃え上がった。
「よし、決めた! 俺は弱い人を助ける」
「そっか」
その決意を優しい笑顔でフユミトは迎える。
「ナツヤがやるなら僕も着いていくよ」
「本当に?」
フユミトは頭が回るし、不思議と人を引き付けまとめる。居てくれるならナツヤは心強かった。
「じゃあ、僕達の組織の名前を考えないとね」
「名前……か」
ナツヤはうーんと悩み、登りかけている太陽を見て閃く。
「さっきフユミトが言った『黎明』って言葉を使いたい。カッコいいし」
そこまで言った後ナツヤは続ける。
「それに、俺にとって今は人生の夜明けなんだ。後は、暗い夜のままの人たちの人生も夜明け……、黎明をあげたい」
「良いと思うよ」
フユミトに言われて、ナツヤは少し照れた。
「それじゃ、黎明だけじゃ短いから僕からの提案。人に黎明を与えるなら『黎明の呼び手』なんてどうだろう?」
「『黎明の呼び手』か、良いな!! よし、俺達は黎明の呼び手だ!!」
城壁に手を掛けて、ナツヤは大声で叫ぶ。
残されたのはナツヤとフユミトの二人だけだ。
「ナツヤはどうするの?」
フユミトに聞かれるも、ナツヤは戸惑って言う。
「いや、どうしたら良いのか、正直分からない」
「そっか」
そう言ってフユミトは笑顔を作る。
「明日までは時間があると思う。だから、ゆっくりと考えれば良いさ」
とりあえずと、ナツヤは金目になりそうな物を城を見学しながら漁る。
夜になり、うまい食べ物を腹一杯に食べると、眠気がやって来た。
「そろそろ寝ようかな」
フユミトが席を立ったので、ナツヤも後を追うように立ち上がる。
「あ、俺も」
適当に見つけていた豪華な部屋のベッドに腰掛けた。寝床というものはこれ程までに柔らかい物なのかと思う。
今日一日で色々な事があり、疲れたが、逆にナツヤは眠れなくなっていた。
「あのさ、フユミト。フユミトの事を聞きたいんだけど」
「何だい?」
フユミトも眠らずに隣のベッドで返事をする。
「フユミトって、あの鉱脈に来る前に何をしていたの?」
「そうだね……」
しばらくの沈黙があった後に話し始める。
「とても暗くて狭い場所に閉じ込められてたよ」
「そっか……」
暗くて狭い場所とはどこか、気になったがフユミトにも思い出したくない事ぐらいあるだろうと、詮索はやめておいた。
ナツヤは夜が明ける前に目が覚めた。
「おはようナツヤ」
それを見透かしたかのようにフユミトに声を掛けられる。
「あぁ、おはようフユミト」
「ねぇ、日の出でも見に行かない?」
日の出と言われて何故と思ったが、断る理由も無いので頷く。
二人は城壁から東を眺めた。段々と空が明るくなっていく。
「知ってる? 夜明けって難しい言葉で『黎明』って言うんだ」
「そうなんだ」
夜明け、ナツヤにとっては、この置かれた状況も人生の夜明けだった。
辛く苦しいことから開放され、ここから人生が始まる。
ナツヤは登ってきた日に思わず手を伸ばした。
「ナツヤはこれからどうするの?」
赤い日差しを浴びてフユミトは尋ねる。
「俺は……、俺はどうすれば良いのか分からない」
「そっか」
視線をナツヤから太陽へとフユミトは移した。
「フユミトは、フユミトはどうするんだ?」
「僕かぁ……」
しばらく沈黙した後、フユミトは話し始める。
「このままだったら、ここからお金やお金になりそうな物を貰って国外に逃げるかな」
「やっぱり、そうか」
ナツヤの相槌にフユミトはクスッと笑って話し続けた。
「もしも、僕がもしもナツヤの立場だったら。他の弱くて虐げられている人たちを助けるかな」
言われてナツヤはハッとする。
「ナツヤにはその力がある。人を救う力が、国を変える力が」
ナツヤは心が高揚すると同時に、使命感のようなものが芽生えた。
「俺が、俺が国を……」
「そうだよ、ナツヤは人の苦しみを知っている。きっと良い王様になるよ」
「王様だなんて……」
フユミトはニコニコ笑って冗談じゃなく心から言っているみたいだ。
「王様は別に良いけど、弱い人を助けることは……。したいかもしれない」
鉱山で自分が受けた仕打ち、絶望。そんな事を味合わずに生きる貴族、支配者たち。
今度はナツヤの心は怒りで燃え上がった。
「よし、決めた! 俺は弱い人を助ける」
「そっか」
その決意を優しい笑顔でフユミトは迎える。
「ナツヤがやるなら僕も着いていくよ」
「本当に?」
フユミトは頭が回るし、不思議と人を引き付けまとめる。居てくれるならナツヤは心強かった。
「じゃあ、僕達の組織の名前を考えないとね」
「名前……か」
ナツヤはうーんと悩み、登りかけている太陽を見て閃く。
「さっきフユミトが言った『黎明』って言葉を使いたい。カッコいいし」
そこまで言った後ナツヤは続ける。
「それに、俺にとって今は人生の夜明けなんだ。後は、暗い夜のままの人たちの人生も夜明け……、黎明をあげたい」
「良いと思うよ」
フユミトに言われて、ナツヤは少し照れた。
「それじゃ、黎明だけじゃ短いから僕からの提案。人に黎明を与えるなら『黎明の呼び手』なんてどうだろう?」
「『黎明の呼び手』か、良いな!! よし、俺達は黎明の呼び手だ!!」
城壁に手を掛けて、ナツヤは大声で叫ぶ。
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---
追記:2025/09/20
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もし気になる方は、
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